まだまだ暑い夏はホラーで納涼!恐怖もワクワク感もある“お化け屋敷”映画まとめ
スティーヴン・キングの長編を鬼才スタンリー・キューブリックが映画化した『シャイニング』
鬼才、スタンリー・キューブリック監督が初めて挑んだホラー映画『シャイニング』(80)も、お題はお化け屋敷だった。雪深い冬の閉館期間に、オーバールックホテルの住み込み管理人の職を得た作家志望のジャック(ジャック・ニコルソン)。妻子とホテルで暮らし始めた彼は、しだいに常軌を逸していく。原作はスティーヴン・キングの同名長編で、「丘の屋敷」の影響を受け執筆した彼の代表作の一つである。
オーバールックホテルは、巨大な丸太小屋を思わせるデザイン。一見普通の大型ホテルだが、どこまでも続く幾何学模様の赤い絨毯、グリーンを強調したバスルーム、真っ赤なトイレなど独特の色設計や、廊下やエレベーター、庭園から調度品まで徹底したシンメトリーの配置が不安をかき立てる。そんなホテルに巣食っているのが、かつてこの地を聖地にしていたネイティブ・アメリカンの霊。怪奇現象そのものは描かれないが、霊に触れ常軌を逸していくジャックや、過去や未来を視る力“ひらめき(シャイニング)”を持つジャックの息子、ダニー(ダニー・ロイド)が目にする凄惨なビジョンは圧巻だ。2019年には成長したダニーがホテルを訪れる続編『ドクター・スリープ』が公開された。
普通の一軒家で起こる怪奇現象に苦しむ家族を描く『ポルターガイスト』
視覚効果を駆使して描いたモダンお化け屋敷映画の決定版『ポルターガイスト』(82)。郊外の分譲地の一角に住むフリーリング家の末娘キャロル=アン(ヘザー・オルーク)が、邪悪な霊によってもう一つの世界に連れ去られる。本作のお化け屋敷はどこにでもありそうな一軒家。ところがそこは墓地の上に建てられており、庭を掘り起こしたのを機に一家は怪奇現象に見舞われる。古びた邸宅ではなく、平凡な住宅をお化け屋敷にするアイデアは秀逸で、本作以降のハリウッド製お化け屋敷映画の定番になった。
監督は『悪魔のいけにえ』(73)で世界を震撼させた奇才、トビー・フーパー。ただし実質的に映画をコントロールしたのは、原案・脚本・製作のスティーヴン・スピルバーグだったという。怪奇現象は、突然フォークがねじ曲がったり、イスが勝手に動くなど軽微なものからスタート。最初に一家がそれを見て、不思議がったり喜んだりと無邪気に対応するのも、いかにもスピルバーグだ。やがて老木やピエロ人形が襲ってくるなど現象はエスカレートし、キャロル=アンが連れ去られたことで超常現象研究家や霊媒師が乗りだしてくる。最後は家族の愛の力が娘を救うが、この展開はスピルバーグがテレビ時代に撮ったお化け屋敷映画『恐怖の館』(72)にも通じている。シリーズ計3作のほか、2015年にはリメイクが製作された。