ホラーアイコンから最恐の殺し屋まで!作品によって見た目も正体も様々な“ブギーマン”集めてみた|最新の映画ニュースならMOVIE WALKER PRESS
ホラーアイコンから最恐の殺し屋まで!作品によって見た目も正体も様々な“ブギーマン”集めてみた

コラム

ホラーアイコンから最恐の殺し屋まで!作品によって見た目も正体も様々な“ブギーマン”集めてみた

ホラーの巨匠、スティーヴン・キングの短編小説「子取り鬼」を原作とする『ブギーマン』が現在公開されている。ブギーマンといえば、数々の映画で名前が登場していることからもわかるように、欧米では定番の存在。今回はそんな“ブギーマン映画”をまとめて紹介していきたい。

欧米で古くから恐れられる恐怖の権化”ブギーマン”とは?

ロブ・ゾンビ版『ハロウィン』のブギーマンことマイケル
ロブ・ゾンビ版『ハロウィン』のブギーマンことマイケル[c]Dimension Films/Courtesy Everett Collection

「ハロウィン」シリーズで知られるホラーアイコン、マイケル・マイヤーズのことを“ブギーマン”だと思っている人も多いかもしれないが、あれはあくまで一つの形。

【写真を見る】8月18日に封切られた『ブギーマン』で描かれる”ブギーマン”とは?
【写真を見る】8月18日に封切られた『ブギーマン』で描かれる”ブギーマン”とは?[c] 2023 20th Century Studios.

そもそもブギーマンとは、約1500年前から語り継がれる民間伝承における想像上の怪物や幽霊の類で、日本でいう“おばけ”のような心の中に巣食う恐怖を実体化したもの。欧米では、言うことをきかない子どもに対する脅し文句として「ブギーマンにさらわれるよ」というものがあり、子どもが恐れる存在として定着している。

タンスやクローゼット、ベッドの下などに潜み、暗闇に紛れて子どもをさらうといわれるブギーマンは想像上の産物のため、外見や性別などもまちまち。また恐怖を実体化した普遍的な存在ゆえ、類似の怪物も各国に存在している。

ブギーマンといえば、やはり「ハロウィン」シリーズ

暗闇からヌッと現れるブギーマン(『ハロウィン』)
暗闇からヌッと現れるブギーマン(『ハロウィン』)[c] Compass International Pictures/ Courtesy: Everett Collection

ブギーマンが登場する映画の代表格といえば、やはり「ハロウィン」シリーズだろう。幼い頃に姉を殺し、療養所に収監されていた殺人鬼マイケル・マイヤーズによる惨劇を描くこのシリーズ。殺人鬼マイケルは街に恐怖をもたらす存在であり、街の人たちからブギーマンと恐れられている。

ブギーマンが幽霊に化けたことも(『ハロウィン』)
ブギーマンが幽霊に化けたことも(『ハロウィン』)[c] Compass International Pictures/ Courtesy: Everett Collection

ブギーマンの名にふさわしく、人間離れした大柄な躯体や怪力を誇る怪物のようなマイケル。幾度となく神出鬼没な登場を見せており、クローゼットなど暗闇からこんにちは。幽霊を思わせる白いシーツを被った姿など、伝承としてのブギーマンを彷彿とさせるシーンも多かった。

ちなみに『ハロウィンII』(81)は、1982年の日本公開当時『ブギーマン』という邦題だったが、VHS発売時に現在のものに改題された。

2000年代にはサム・ライミが『ブギーマン』映画を製作!

シリーズ化した2000年代の『ブギーマン』
シリーズ化した2000年代の『ブギーマン』[c] Screen Gems/courtesy Everett Collection

サム・ライミが製作を務めた2005年のホラー『ブギーマン』も忘れてはいけない。本作はのちに『ブギーマン2 憑依』(07)、『ブギーマン3』(08)と続編が作られた人気シリーズ。親をブギーマンによって殺された過去を持ち、いつか自分も同じ目に遭うのではと怯えて過ごす若者が、内なる恐怖と対峙していく物語だ。

1作目に登場したブギーマンは、ガイコツに目が付いたようなおぞましいルックスで、コートをなびかせながら高速で浮遊する姿はまさに幽霊。クローゼットやベッドの下から現れ、登場人物たちを次々とさらってしまう、まさに“ザ・ブギーマン”だ。またこの作品、クローゼットやベッドの下などがほかの空間につながっているという設定もユニークだった。

自分と向き合う“鏡”を題材としたB級『ブギーマン』も!

ウーリー・ロメル監督による『死霊の鏡/ブギーマン』
ウーリー・ロメル監督による『死霊の鏡/ブギーマン』[c] The Jerry Gross Organization /courtesy Everett Collection

ブギーマンとタイトルに入るホラーでは、ウーリー・ロメル監督の『死霊の鏡/ブギーマン』が1980年に作られている。こちらは、母親の愛人を殺してしまった子どもが、20年後、血だらけの愛人に脅えながらも次々に起こる怪現象に立ち向かっていく1作。血塗れの愛人(ブギーマン)が写るのが部屋の“鏡”であり、自分の心に存在する恐怖、トラウマと“向き合う”内容となっている。

続編として、前半がほとんど前作の映像による回想シーンで構成され、その事件を映像化しようとする映画監督を襲う悲劇を描いた『死霊の鏡2/ブギーマン2』(82)も作られた。

心の闇の中で育つ…怖すぎるブギーマン『ババドック』

ブギーマンといえば、ベッド下やクローゼットに潜むとされている(『ババドック 暗闇の魔物』)
ブギーマンといえば、ベッド下やクローゼットに潜むとされている(『ババドック 暗闇の魔物』)[c]IFC Midnight/Courtesy Everett Collection

ブギーマンという名前ではないが、そのほかにも多くのホラーモンスターのモチーフとなっているブギーマン。子どもたちの心に巣食う恐怖をピエロの形で実体化した「IT」シリーズのペニー・ワイズや、人間の恐怖を原動力とする「エルム街の悪夢」シリーズのフレディ・クルーガーもその一つと言えるだろう。

なかでも『ババドック~暗闇の魔物~』(14)は、見応えのあるブギーマン映画。夫を事故で亡くしたアメリアは、なにかと手のかかる息子サミュエルに悩まされながらも2人で暮らしていた。しかしある日、サミュエルがアメリアに「ババドック」というタイトルの見たこともない絵本を読んでほしいと持ってくると、その日を境に不可解な現象が次々と起きていき…。

黒の山高帽&白塗りフェイス、大きな目と口という不安を掻き立てるような不気味なルックスのババドック。暗闇からヌッと現れ、手のかかる子どもに恐怖を与える正統派ブギーマンだが、その正体とはいったいなんなのか?ラストも秀逸な1作だ。

『ナイトメアー・ビフォア・クリスマス』にもブギーマンが登場!


『ナイトメアー・ビフォア・クリスマス』のウギー・ブギー
『ナイトメアー・ビフォア・クリスマス』のウギー・ブギー[c]Buena Vista Pictures/Courtesy Everett Collection

クリスマスに憧れるハロウィン・タウンの王様ジャック・スケリントンが巻き起こす騒動を、ストップモーションアニメで描いた『ナイトメアー・ビフォア・クリスマス』(93)にも、残虐な行為を行うブギーマンとしてウギー・ブギーというヴィランが登場した。

町の影の支配者を自称するウギー・ブギーは目と口の部分が空洞になった麻袋という見た目で、袋の中は数万もの虫の集合体という悪夢のような存在。子どもたちに悪夢を見せることもできるキャラクターだが、映画では子どもでなくサンタクロースをさらった。

『モンスターズ・インク』のモンスターたちもクローゼットから姿を現す
『モンスターズ・インク』のモンスターたちもクローゼットから姿を現す[c]Walt Disney Pictures/courtesy Everett Collection

同じディズニー・アニメーションでは、『モンスターズ・インク』(01)のモンスターたちもクローゼットに潜んでは子どもを怖がらせ、その悲鳴を原動力としている点ではある種のブギーマンと言える存在だ。

マフィアも怯える殺し屋『ジョン・ウィック』

最恐の殺し屋ジョンもマフィアたちの恐怖の対象で「ブギーマン」と呼ばれている(『ジョン・ウィック』)
最恐の殺し屋ジョンもマフィアたちの恐怖の対象で「ブギーマン」と呼ばれている(『ジョン・ウィック』)[c]Summit Entertainment/courtesy Everett Collection

キアヌ・リーブス演じる伝説の殺し屋の壮絶な復讐を描く人気シリーズ1作目『ジョン・ウィック』(14)では、犬を殺したことでジョンの怒りを買ってしまったロシアンマフィアの首領ヴィゴによって、ジョンがブギーマン(殺し屋)と喩えられている。

しかも厳密にいうと、ジョンはブギーマンではなく、ブギーマンを始末するブギーマン。すなわちバーバ・ヤーガ(東欧圏で信じられている魔女)と表現されており、彼がいかに恐れられている存在なのかが一目瞭然だ。

ちなみに同様の喩えとして、チャック・ノリスの強さをジョークにしたネットミームの「チャック・ノリス・ファクト」でも「When the Boogeyman goes to sleep every night, he checks his closet for Chuck Norris.(ブギーマンは毎晩寝る前に自宅のクローゼットにチャック・ノリスが潜んでいないかを確認する)」というものがある。

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