寺田心、声変わりを実感「自分の声を聞いてポカン」『屋根裏のラジャー』製作報告会見が開催
8月21日、帝国ホテルにて、スタジオポノック最新作『屋根裏のラジャー』の製作報告会見が開催。寺田心、安藤サクラ、イッセー尾形、百瀬義行監督、西村義明プロデューサーが登壇した。
本作は、少女との友情をイマジナリーフレンド視点で描いた児童書「ぼくが消えないうちに」を映画化した長編アニメーション。長編第1作『メアリと魔女の花』(17)がヒットとなったスタジオポノックが描くファンタジーとなっている。
イベントでは、本作に声の出演をする俳優陣が発表された。少女アマンダの想像から生まれた主人公、誰にも見えない少年ラジャーを演じるのは、アニメーション映画の声優初挑戦の寺田心。また、是枝裕和監督『万引き家族』(18)、『怪物』(公開中)で2度のカンヌ国際映画祭参加を果たした安藤サクラが、ラジャーを生みだした少女アマンダの母リジー役を演じ、マーティン・スコセッシ監督の『沈黙ーサイレンスー』(18)で海外メディアからもその演技を絶賛されたイッセー尾形が、謎の男ミスター・バンティング役を演じる。
今回、オーディションでラジャー役を射止めたという寺田は、「オーディションの前に1枚の絵とセリフに触れて、イマジナリーの世界観とラジャーという存在に惹かれ、ほかの誰かではなく僕自身が絶対に演じたいと思いました。役が決まった時は泣いちゃうくらい、すごくうれしかったですね」とニッコリ。
変声期に入る直前に声の収録を実施したそうで、予告編を観て「自分の声を聞いてポカンとしちゃいました。収録は、声変わり前ぎりぎりの中2の夏あたりにして、アフレコが終わる頃には、声が変わっちゃってるかなと思いました」と振り返った。
さらに、イマジナリーフレンドという存在について、「いたことがありますね」と寺田。「小さい頃に母からもらったクマのぬいぐるみが、僕にとってのイマジナリーでした。その子がいないと不安な気持ちにもなったし、『なにを考えているの?』『なにして遊ぶ?』って言ってくれていました。なにかのタイミングにその子の声が聞こえなくなっちゃいましたが、いまでも側で見守ってくれている気がします」と明かした。
イベントでは、西村プロデューサーが『屋根裏のラジャー』製作の背景についてもコメント。「素敵な原作に巡り合ったんです。でも、これがまた難しい作品で。日本人には馴染みがないかもしれませんが、子どもが想像した友だち“イマジナリーフレンド”、それが主人公なんです。ただ、僕たちの主眼は『子どもの想像って無限だよね』というところにありません。人間に忘れられていくことは悲劇なのだろうか?と、僕たちはもう少しラジャーの人生に想像を馳せてみました。イマジナリーフレンドを僕たち自身の物語として描くこと、そうすることで価値ある作品ができるのではないかと考えたのが製作の発端です」と話した。
そして百瀬監督は「先週0号試写をしまして、ほぼ完成に近づきました。観終わったら、スタッフ側からも手応えを感じ、ホッとしています。内容を深掘りできているという手応えがありましたし、洗練された絵作りがストーリーを底支えしてくれていると思っています」と胸を張った。
取材・文/平井あゆみ