KREVAが解説する『ミュータント・タートルズ』サントラの必聴ポイントは？「日本の感覚とは違う、ヒップホップの本場“アメリカ”な選曲」

1984年の誕生以来、ポップカルチャーアイコンとしてコミックや映画、アニメ、ゲーム、アパレルなどを通じ、幅広い世代から支持を集める”世界でもっとも愛される4人組のカメたち”が、手描き質感のアニメーションで新たに登場する『ミュータント・タートルズ：ミュータント・パニック！』(9月22日公開)。大のタートルズ好きを公言しているコメディ俳優のセス・ローゲンがプロデューサーを務め、新進気鋭のフィルムメーカーであるジェフ・ロウがメガホンを取っている。

アニメやK-POPといった近年のサブカルチャーの要素や、スケボーやファッションなどにストリートカルチャーも豊富に取り入れられ、本作のクリエイターたちが少年期に体験してきた1990年代を代表するヒップホップアーティストの楽曲が、あらゆる場面で使用されているのが特徴的な本作。そこでMOVIE WALKER PRESSでは、日本のヒップホップシーンを牽引してきた第一人者である、ラッパーのKREVAにインタビューを敢行。クールでキュートなタートルズたちの魅力から、「ヒップホップが生活にある人たちが選んでいる」と解説するサウンドトラックの必聴ポイント、自身がタートルズに重ね合わせたという”少数派”への想いまで語ってもらった。

「影響を受けた作品を、敢えて隠さないことに“クールさ"を感じる」

舞台は2023年のニューヨーク。突然変異した4人のカメであるタートルズは、子どものころから危険な存在である人間から隠れて暮らしてきた。“普通のティーンエイジャー”としてニューヨークの人々から愛され受け入れられたいという願いを叶えるため、人間の高校生・エイプリルの助けを得ながら謎の犯罪組織との戦いに繰り出すことに。そんな彼らの前に現れたのは、ハエから変異したミュータントのスーパーフライが率いる“ミュータント軍団”だった。

「ミュータント・タートルズ」シリーズにしっかり触れるのが、実は本作が初めてだと話すKREVAは、本作を観てタートルズに感じていた印象が大きく変わったという。「もっとヒーローのような存在だと思っていたんですが、ヒーローへの憧れが強いだけの、心がピュアな普通の少年たちで。あんなパワーを持っていたら、それこそヴィラン側のミュータントのように、あらぬ方向に使ってしまいそうなものだけど、そういうことはせず、人間たちと一緒に楽しく生活をしたいと願っている。そこがすごくいいなと思いましたし、かわいらしいと感じました」。

独特なタッチのアニメーションで描かれるタートルズについては、「3D調でリアルな感じに見える部分と、荒々しい手描きのコミックのような雰囲気が共存しているのがおもしろいと思いました」と称賛。その表現のなかでもタートルズの表情がとりわけ魅力的だったとのことで、「想像以上にかわいかったです。うれしそうな顔もいいけれど、僕は困った顔や憂いのある顔が印象に残りました。逆にヴィラン側のミュータントは、ちゃんとキモくて(笑)。ただ敵キャラとしてよいキモさであって、コミカルに動いたりとグロテスクな描かれ方をされていないのがよかったです。特にヤモリの敵ミュータント(モンドゲッコー)の、“バイブス推し”みたいな感じはよかったですね。『バイブスを大事にする』っていうセリフもおもしろいし、そのとおりだなって」と、本作での推しミュータントについて語る。

また、タートルズが「BTSに会いたかった」と願望を告白するなど、世界中のあらゆるカルチャーが取り入れられている本作だが、そのなかでも誰もが知っている日本のマンガが登場したのには驚きを隠せなかったという。「結構大事なシーンで登場して、その作品からヒントをもらって解決していったのは衝撃的で、ここまではっきり表現しちゃうところがすごいなと思いました。昔は別の作品からうまくトレースして表現していくのが普通だったので、これはサブカル的な遊びでもあるけど、いまは影響を受けた作品は隠さずに、敢えて観る人が気づくようにしたほうがクールなんだなと感じました」。