夏休みのキャンプが人生を変える!? 感動ミュージカルから戦慄のホラーまで、サマーキャンプムービー
演劇養成スクールにはスターを目指す“変わり者たち”が集結!
近年では日本からの参加者も増えているというサマーキャンプ。大自然満喫型はもとより、ダンスなど特化型のなかでも現地のティーンたちに人気があるのは演劇キャンプだという。50年近い歴史を持つ「ステージドア・マナー・サマーキャンプ」はロバート・ダウニーJr.やナタリー・ポートマン、ブライス・ダラス・ハワード、アンセル・エルゴートなども参加した名門俳優養成キャンプとして知られている。
俳優・脚本家であるトッド・グラフの初監督作で、自身のステージドア・マナーへの参加経験をベースにつむがれた『キャンプ』(03)は、ミュージカル俳優養成キャンプを舞台とする青春ドラマだ。ハンサムだが秘密を抱えるヴラッド(ダニエル・リタール)やゲイのマイケル(ロビン・デ・ヘスス)、モテないエレン(ジョアナ・チルコート)など、歌や踊りが大好きなティーンたちが演劇キャンプの経験を通じて成長していく。アナ・ケンドリックがこの作品でスクリーンデビューを飾ったほか、俳優の卵たちによる本格的なミュージカル・シーンも見どころとなっている。
そして『シアター・キャンプ』は、演劇サマーキャンプに集うクセ強めの教師と個性豊かな子どもたちの奮闘をモキュメンタリースタイルで描いたコメディドラマだ。ニューヨーク州北部の湖畔にある「アディロンド・アクト」は、長年ミュージカル・スターを目指す子どもたちが参加する人気演劇スクール。しかし校長が昏睡状態に陥ったことで、経営破綻寸前であることが発覚する。そこで彼らは3週間で新作ミュージカルを完成させて出資金を募り、スクールを存続させることを思いつく。
作品を良くするために時として厳しいことも言い放つ教師と、スターを夢みてダンスや歌のレッスンに明け暮れる子どもたち。芸術のためにその身を捧げる彼らが自らのことを“変わり者”と称しているのが印象的だ。本作では子どものみならず裏方となる教師やスタッフたちの悩みや激務もコミカルに語られ笑いを誘うが、最初はバラバラだった彼らが、生活を共にしながら最高の舞台を作り上げるために次第に心を通わせ合う姿は胸アツ。クライマックスのミュージカル・シーンはまばゆい輝きを放っていて、その見事なパフォーマンスの数々には誰しも心トキメクことだろう。
笑いあり、涙あり、喜びありの『シアター・キャンプ』。最高にハッピーになれる感動作をこの機会に堪能してほしい。
文/足立美由紀