「最初の10分で否応なく心をつかまれた」作家・漫画家ら“ミステリーの匠”たちが「名探偵ポアロ」最新作を高く評価する理由とは?
「今回のポアロは多く戸惑い、弱く、だからこそ魅力がある」謎めいた現象に戸惑うポアロの姿も魅力
豪華絢爛な列車内の事件を描いた『オリエント急行殺人事件』、ナイル川をクルーズする豪華客船で連続殺人事件が起きる『ナイル殺人事件』に続く今作の舞台は、幻想的な水の都ベネチアに建つ“亡霊の屋敷”。これまでの2作から一転、映画は不気味な空気に包まれている。神木隆之介、浜辺美波共演で映画化されたデビュー作「屍人荘の殺人」で鮎川哲也賞などを受賞し、「このミステリーがすごい!」第1位ほか数々のランキングにも輝いたミステリー作家の今村昌弘は、「これまでのシリーズ作品とはまったく異なるホラーテイストの世界観に、最初の10分で否応なく心をつかまれた」と幻想的な雰囲気を放つ本作に冒頭から魅了されたようだ。降霊会を機に出席者が次々に謎の死を遂げていく物語。果たして亡霊は存在するのか?今村は「息をつく間もなく襲いかかる不可解な謎が、最後の最後、瞬く間に解き明かされる様はまさに亡霊が祓われるかのようで圧巻。今回のポアロは多く戸惑い、弱く、だからこそ魅力がある」と、謎めいた現象に戸惑い苦悩するポアロの姿も本作の見どころだという。
ドラマ化、映画化とこれまで何度も映画化されてきたクリスティの作品群。なかでもブラナー版が高く評価されている理由の一つが、原作を活かしつつ独自の視点で脚色した構成にある。3作目となる今作は「ベネチアの亡霊」というタイトルどおり、ゴーストストーリーを取り入れて、これまで以上にオリジナリティの強い作品になっている。藤原竜也、有村架純出演で映画化された「僕だけがいない街」で映画ファンにも人気の漫画家・三部けいは、「驚かされました!シリーズ過去作をイメージして観賞すると裏切られます。もちろん良い意味で。次々に起きる不可解な出来事を、ポアロと一緒に体験している様な感覚にさせられる、とても魅惑的な作品です」と、これまでのシリーズにない体感的な映像に魅了されたようだ。圧倒的なビジュアルにも触れ、「揺るぎないケネス・ブラナーの演技、ロケーションの美しさ。過去作を観ていない方にも自信を持ってお勧め出来ます!」と、映画「名探偵ポアロ」シリーズ初心者にもお薦めだと太鼓判を押す。
天才的な頭脳でトリックに挑むポアロの活躍や幻想的な世界観に加え、母子や父子といった家族の絆や確執を描いた人間模様も見どころの本作。心揺さぶる衝撃のラストまで息つく間もなく展開していく、極上の本格ミステリー映画に仕上がった。