自然体の安藤サクラが異彩を放つ『BAD LANDS バッド・ランズ』など週末観るならこの3本!

コラム

自然体の安藤サクラが異彩を放つ『BAD LANDS バッド・ランズ』など週末観るならこの3本!

週末に観てほしい映像作品3本を、MOVIE WALKER PRESSに携わる映画ライター陣が(独断と偏見で)紹介します!
週末に観てほしい映像作品3本を、MOVIE WALKER PRESSに携わる映画ライター陣が(独断と偏見で)紹介します!

MOVIE WALKER PRESSスタッフが、いま観てほしい映像作品3本を(独断と偏見で)紹介する連載企画「今週の☆☆☆」。今週は、大金を手に入れた姉弟が曲者たちと騙し合うクライムエンタテインメント、タブーに深く切り込んだ、かわぐちかいじの同名漫画の実写映画化、「イカゲーム」で主人公を演じたイ・ジョンジェの監督デビュー作の、巨悪に立ち向かう3本。

有象無象の個性派俳優たちが蠢き、一瞬も見逃せない…『BAD LANDS バッド・ランズ』(公開中)

【写真を見る】特殊詐欺に手を染めながら生きるネリとジョー(『BAD LANDS バッド・ランズ』)
【写真を見る】特殊詐欺に手を染めながら生きるネリとジョー(『BAD LANDS バッド・ランズ』)[c]2023『BAD LANDS』製作委員会

スクリーンの隅や奥の方でも有象無象の個性派俳優たちが蠢き、一瞬も見逃せない原田眞人監督の作品。癖の強い、濃い面々が鎬を削るなか、主演、安藤サクラはいつも通り、力の抜けた自然体で異彩を放つ。巨大なオレオレ詐欺集団の受け子のリーダー、ネリ。想像を絶する出自を持ち、全てが謎に包まれている。裏社会に反発するでもなく、馴染むでもなく、舞う風のように渡り歩くネリは安藤サクラならではのキャラクター。西成でロケしようと、屈強な男たちにどんな酷い目に遭わされようと、どこまでも軽妙で痛快なほど。

彼女を慕う弟分ジョーを演じた山田涼介もまた新境地。やることなすことが裏目に出て、存在するだけで厄介な存在でありながら、どうにも憎めないジョー。まるでゴミ溜めの中の宝石のように場違いに美しく、山田を見つめる、母性溢れる安藤の視線が彼らの関係性を物語る。主役はもちろん、『クライマーズ・ハイ』(08)の滝藤賢一、『検察側の罪人』(18)の酒向芳など、脇の一人一人にまでキャスティングの手腕が光る原田監督。今回は「VIVANT」も話題の刑事役、吉原光夫が出物。意外とまえだまえだ前田航基のワルぶりにも心、奪われる。(映画ライター・高山亜紀)


大迫力の海洋ミリタリーアクション…『沈黙の艦隊』(公開中)

連載当時、社会現象を巻き起こした同名漫画を大沢たかお主演で実写映画化する『沈黙の艦隊』
連載当時、社会現象を巻き起こした同名漫画を大沢たかお主演で実写映画化する『沈黙の艦隊』[c]かわぐちかいじ/講談社 [c]2023 Amazon Content Services LLC OR ITS AFFILIATES. All Rights Reserved.

1988年に連載をスタートし、大ヒットを記録したかわぐちかいじ原作のコミックス「沈黙の艦隊」。その壮大なスケールとある意味タブーに触れる軍事表現から「実写化不可能」と言われた作品が、30年の時を経て実写映像化が実現した。

海上自衛隊の全面協力のもと、「キングダム」を実写化した映像制作会社クレデウスが手掛けた映像は、自衛隊の施設から潜水艦の艦内まで、まさに“本物“のこだわりに満ちており、邦画の超大作がここまで表現できるところまで到達したことにまず驚くはず。さらに、CGを駆使した海中、海上を舞台とした、潜水艦と艦船による戦闘シーンは、原作コミックスでも大きな見所となっていた手に汗握る攻防を迫力の映像で見せつけてくれる。そして、主演の大沢たかおをはじめとする豪華キャスト陣の演技によって原作の持つ、ポリティカルサスペンスとミリタリーアクションの魅力が見事に融合。「潜水艦映画にはずれ無し」と言われるが、その言葉通りの満足度と完成度となっており、邦画の新しい実力を見せつけてくれる迫力の映像は、ぜひ大スクリーンで味わって欲しい。(映画ライター・石井誠)

イ・ジョンジェの堂々たる演出力に驚かされる…『ハント』(公開中)

「イカゲーム」のイ・ジョンジェ監督デビュー作となる『ハント』
「イカゲーム」のイ・ジョンジェ監督デビュー作となる『ハント』[c]2022 MEGABOXJOONGANG PLUS M, ARTIST STUDIO & SANAI PICTURES ALL RIGHTS RESERVED.

Netflixの大ヒットドラマ「イカゲーム」で主役を演じ、国際的な知名度を高めた韓国のスター俳優イ・ジョンジェが監督デビュー。まだ韓国が軍事政権下だった1980年代を背景に、北朝鮮への重要機密の漏洩が発覚した安全企画部(韓国の情報機関)のスパイ捜しを描く。イ・ジョンジェともうひとりの大物俳優チョン・ウソンがダブル主演を務め、ライバル同士の情報局員パクとキムを熱演。互いの素性を疑う両者の激烈な駆け引きが、韓国国内のみならず米ワシントンD.C.や東京を舞台にした銃撃、カーチェイスとともに繰り広げられていく。

息づまるサスペンスをみなぎらせて二転三転するストーリー、ド派手なスペクタクルに加え、主人公二人が火花を散らす信念のドラマもヒートアップ。初めてメガホンを執ったイ・ジョンジェの堂々たる演出力に驚かされるスパイ・アクション大作だ。(映画ライター・高橋諭治)

映画を観たいけれど、どの作品を選べばいいかわからない…という人は、ぜひこのレビューを参考にお気に入りの1本を見つけてみて。

構成/サンクレイオ翼

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