もはや全世代に刺さる共通認識!?「ゆとりですがなにか」が描く、ゆとり世代の苦悩と“わかりみ”が深い生き方
「ゆとり」。ゆとり世代とは2002年から2011年の間に義務教育を受けた世代(1987年4月2日生まれ~2004年4月1日生まれ)のことを言う。それまでの詰め込み型教育に対して、自分で課題を見つけ、自分で考え、自ら行動をする人間を養おう、という考えのもとに行われた教育を受けている。そんな「ゆとり世代」にスポットを当てたドラマが「ゆとりですがなにか」だ。
仕事、恋、家族、人間関係の悩みを「ゆとり」という切り口から描く
物語の主人公は食品会社の営業マンとして働く坂間正和(岡田将生)。ゆとり世代だ。仕事に悩む坂間は偶然「レンタルおじさん」の広告を見つけ、麻生厳(吉田鋼太郎)に相談を依頼。そして麻生を通じて、同い年の小学校教員の山路一豊(松坂桃李)と知り合う。
山路と悩みを打ち明け合うようになった坂間。2人で飲んだくれていた時、風俗店の呼び込みをしていた道上まりぶ(柳楽優弥)にぼったくり店に案内されてしまう。が、のちにまりぶも同い年とわかり、3人はいつの間にか行動を共にする機会が増えていく。それぞれの仕事、恋、家族、人間関係の悩みを「ゆとり」という切り口から描いていく。
なにかというと「これだからゆとりは」と言われてしまうゆとり世代の苦悩
最近ではあまり「ゆとり」のワードも聞かなくなったようにも思うが気のせいか。しかし、2016年当時といえば「ゆとり」真っ盛りだったかもしれない。「ゆとり」だと自覚がある世代に比べ、坂間はさほどでもない。物語の冒頭、「自分もゆとりなのか」と衝撃を受けるシーンもあったくらいだ。
ゆとり世代の特徴として挙げられるのは、プライベートを大事にしているだとか、メンタルが繊細、効率を重視する、高級志向などがあまりない、などがある。飲み会離れ、などという言葉もあったが、ゆとり世代が社会人になったこともあるのだろう。
ただ、坂間たちのような狭間にいる人たちは、「行きたくないな」と思いつつも付き合うし、イケイケどんどんな上司たちに怒鳴られても頑張るし、ゆとりど真ん中の後輩たちに振り回される。就職だって、リーマンショックがぶち当たってしまい、大変だった。なんというか、大人に振り回されて、勝手にゆとりにされて、いざ大人になったら「これだからゆとりは」と言われる。
彼らが悩んでいる内容はそんな責められるほど「甘いことを言っている」なんていうものではないし、時代が変わっても、頷けるものばかり。そこに、「ゆとり」が乗ったことによって、より苦悩を強める。なんてことしてくれたんだ、大人たちよ、という気持ちになる。観ている側のやるせない気持ちも一緒に抱えながら、坂間たちは泥臭く前に進んでいく。