LiLiCoが『北極百貨店のコンシェルジュさん』で感じた”コンシェルジュ”冥利。夫への驚きの贈りものエピソードとは?

インタビュー

LiLiCoが『北極百貨店のコンシェルジュさん』で感じた”コンシェルジュ”冥利。夫への驚きの贈りものエピソードとは?

「映画はエンドロールが終わった後も、絶対にその人のなかで生き続ける」

――映画コメンテーターというお仕事は、映画の“コンシェルジュ”とも感じるのですが、LiLiCoさん自身が誰かに映画を勧めるうえで大事にされていることはありますか?

「普段から信号待ちをしていても、電車に乗っていても、いろいろな人から『おすすめの映画ある?』ってよく聞かれるんですよね。そういう時も相手の立場に立って考えるようにしていて、『いままでどんな映画がおもしろかったですか?』と聞くようにしています。だから私の場合、“映画コメンテーター”という名前が付いていますけど、自分では“映画ソムリエ”だと思っていて、いま“映画コンシェルジュ”でもいいなって思い始めています(笑)。

いろいろなメディアで映画のお話をする機会をいただいているので、例えば雑誌に寄稿する時にはそれぞれの雑誌の読者層を考えながら原稿を書くようにしています。『王様のブランチ』は映画が大好きな人も観ますけど、なかには金曜日の夜にテレビを付けたまま寝ちゃって二日酔いで観ている人もいる。『やることないなー』って思ってなんとなく観ていた人が、『LiLiCoがそう言うなら観てみようかな』って思えるように、ちゃんとその映画のなにが良いのか、こういう状態の時にはこう感じる映画なんだと伝えることを大事にしています。

 “生きる”ことのお手伝いをすることについて、笑顔で語ってくれた
“生きる”ことのお手伝いをすることについて、笑顔で語ってくれた[c]2023⻄村ツチカ/⼩学館/「北極百貨店のコンシェルジュさん」製作委員会


以前スウェーデン映画の『幸せのひとりぼっち』のハンネス・ホルム監督にお会いした時に、『LiLiCoは映画の話じゃなくて、LiLiCoの話をしているね』と言われたことがあります。私というフィルターを通して、その映画をどう感じたか。いろいろな感じ方があって良いし、私と全然違う感じ方をしてくれてもどれが正解なわけではないし、受け止め方はその人がいままでどう生きてきたかで変わるものです。だから『おもしろかった』という言葉は安易に使わないようにしています。それに最近、映画は“共感”することじゃないと思うんです。真逆のことを思っていても、人の意見を取り入れることはとても大事で、まったく違うなら反面教師にすればいいし、こういう人もいるんだと知ることが大切だなと。

それは“生きる”ということも同じで、全部に共感できなくてもちょっとずつ大切なものを見つけて拾いあげてつなげていくものだと思うんです。『なんでLiLiCoさんっていつも明るいの?』とか『楽しく生きてそうだね』って言われるけど、それは間違いなくたくさん映画を観てきたからだし、ハッピーというものはどこかから飛んでくるものではなくて自分のなかにあるとわかりました。だから、自分の人生につながるものを映画から積極的に見つけていくんです。そして、映画はエンドロールが終わった後も絶対にその人のなかに生き続けるものだからこそ、“生きる”ことのお手伝いをするコンシェルジュが必要なんです」

『北極百貨店のコンシェルジュさん』は公開中!
『北極百貨店のコンシェルジュさん』は公開中![c]2023⻄村ツチカ/⼩学館/「北極百貨店のコンシェルジュさん」製作委員会

取材・文/久保田 和馬

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