埼玉がますます誇れるようになる!?愛あるディスにまみれた『翔んで埼玉』を振り返る
「埼玉県人には、そこらへんの草でも食わせておけ!」。そんな数々の埼玉ディスで、まさかの大ヒットを記録した『翔んで埼玉』(19)。劇中では「全国社長輩出ランキング10年連続最下位」「総理大臣輩出ゼロ」などのネガティブワードもポンポン飛びだしたが、埼玉にも実は「快晴日数」「川幅」「アイスクリーム出荷額」「ひな人形出荷額」など地味な日本一がいっぱい。
埼玉県民のおおらかさと思いがけない大反響を受けてまたまた作られた、“日本最高峰の茶番劇”第2章『翔んで埼玉 〜琵琶湖より愛をこめて〜』がいよいよ11月23日から公開。本稿ではそんな最新作の見どころを、前作を振り返りながら徹底紹介していく。
“滋賀県”に飛び火する新作『翔んで埼玉 〜琵琶湖より愛をこめて〜』
麻実麗(GACKT)が率いる埼玉解放戦線の活躍で、東京への通行手形制度が撤廃され、埼玉県人が自由と平和を手に入れるまでが描かれた前作。今作では日本埼玉化計画を推し進める埼玉が、神奈川や千葉などに本格的に勢力を拡大させていく展開になるのかと思われた。ところが、そこは埼玉県人!多くの期待と予想を軽々と裏切り、ディスる新たなターゲットを関西圏の“滋賀県”に。その誰も予想しないフィールドに、誰も思いつかないくだらない方法で向かわせるところこそ、このシリーズならでの醍醐味と言ってもいいだろう。
仕掛け人は今回もやっぱり麗。埼玉県人を一つにするため、海なし県の埼玉・越谷に海を作ることを計画した彼は、愛する壇ノ浦百美(二階堂ふみ)を埼玉に残し、白浜の美しい砂を求めて和歌山県に向かう。しかし、当時の関西は大阪府知事の嘉祥寺晃(片岡愛之助)と妻の神戸市長(藤原紀香)、京都市長(川崎麻世)の支配下にあり、都会指数の低いそのほかの県との地域格差がくっきり。
大量の鹿が生息している奈良県は「1300年以上時が止まったまま」とバカにされ、奇妙な生き物“パンダ”が草を食べまくっている和歌山県は未開の地扱いで、美しい白浜は通行手形がない者は入れない大阪人のためのリゾート地に。三重は中部地方に逃げた幻の県で、琵琶湖が大半を占める滋賀県は住む陸地もなければ、埼玉と一緒で見るべきものも誇れるものもなく、ナンバープレートの姿形から「ゲジゲジ」と揶揄されていた。関西のそんな悪しき現状を知った麗は、「滋賀解放戦線」の桔梗魁(杏)と運命の出会いを果たす。そして、日本全土を巻き込む、大阪の恐ろしい“ありえへん”陰謀を阻止するために立ち上がるのだった――。