マイケル・ファスベンダーら登壇、『ネクスト・ゴール・ウィンズ』のLAプレミアが開催!

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マイケル・ファスベンダーら登壇、『ネクスト・ゴール・ウィンズ』のLAプレミアが開催!

タイカ・ワイティティ監督が、第92回アカデミー賞脚色賞を受賞した『ジョジョ・ラビット』(20)の製作スタジオ、サーチライト・ピクチャーズと再びタッグを組んだ最新作『ネクスト・ゴール・ウィンズ』(2024年2月23日公開)。第48回トロント国際映画祭でも感動と絶賛の嵐が巻き起こった本作のLAプレミアが、現地時間11月14日に開催され、ワイティティ監督などスタッフ陣のほか、マイケル・ファスベンダーやカイマナら豪華ゲストが登壇した。

トーマス・ロンゲン役のマイケル・ファスベンダー
トーマス・ロンゲン役のマイケル・ファスベンダー[c]2023 20th Century Studios. All Rights Reserved.

2001年、ワールドカップ予選史上最悪の0-31の大敗を喫して以来、1ゴールも決められていない米領サモアチーム。チームは破天荒な性格でアメリカを追われた鬼コーチ、トーマス・ロンゲンを招き、立て直しを図るが、果たして奇跡の1勝は挙げられるのか!?2014年に、『ネクスト・ゴール!世界最弱のサッカー代表チーム 0対31からの挑戦』としてドキュメンタリー映画化もされた奇跡の実話をベースに、『ソー:ラブ&サンダー』(22)などのハリウッド大作から、『ジョジョ・ラビット』といったセンスとユーモアにあふれた心打つ感動作まで幅広く手掛けるワイティティが監督、脚本を務め、独自の世界観とユーモアを盛り込んだ感動の実話に仕上げられた本作。

主人公トーマス・ロンゲンを演じるのは、「X-MEN」シリーズ、『SHAME-シェイム-』(11)などのクールな役柄で知られ、本作でワイティティ監督絶賛のコメディセンスを見せて新境地を拓いたファスベンダー。共演は米領サモア・サッカー協会会長のタビタ役にオスカー・ナイトリー、ロンゲンの元妻ゲイル役に同スタジオ制作『フレンチ・ディスパッチ』(22)や『透明人間』(20)のエリザベス・モスが脇を固める。

監督のタイカ・ワイティティ
監督のタイカ・ワイティティ[c]2023 20th Century Studios. All Rights Reserved.

本プレミアでは、筋骨隆々のスタッフによるシバタウ(気迫あふれる掛け声で自分たちを鼓舞し、対戦相手を圧倒する伝統的な儀式)もお披露目されたが、劇中でも出演者たちが魅せるこの舞踊に大盛り上がりとなった。また、レッドカーペットにはワイティティ監督などスタッフ陣のほか、全米映画俳優組合のストライキが終了したことによりファスベンダーをはじめ、ジャイヤ・サエルア(FIFAワールドカップ初のトランスジェンダー選手)を演じ、自身もファファフィネ(サモアで呼称されている「第3の性」の呼び名)であるカイマナも登壇し、久々となる華やかなプレミアイベントに大勢のマスコミが駆けつけた。

【写真を見る】FIFA ワールドカップ初のトランスジェンダー選手、ジャイヤ・サエルアとタイカ・ワイティティ監督
【写真を見る】FIFA ワールドカップ初のトランスジェンダー選手、ジャイヤ・サエルアとタイカ・ワイティティ監督[c]2023 20th Century Studios. All Rights Reserved.

ワイティティ監督は本作のテーマについて問われると「“希望”です。希望とあきらめないことについての映画です。ここ数年、特に映画界では世界がいかにひどいものであるかを思い知らされる作品が多く、人間というものは本当に悪いものだと思わされる。でも違う。人間はすばらしい存在で、私は人間が大好きです。そしてこの物語から、最悪と感じる出来事でも実際はそこまで悪くはない、希望を持って幸せな気持ちになれる、ということを伝えたいです」と昨今の映画製作情勢に触れつつも、ワイティティらしい温かく愛のあるコメントを披露。

また、「本作はスポーツがどうとか、僕がスポーツを理解するとか、そういうことではなかったです。それがこの映画を撮った理由ではありません。この映画は、人間そして人と人とのつながりの話です。そして太平洋諸島を世界に紹介したかった。私たちの文化と存在を世の中に示したかったのです」と本作がただのスポーツを題材にした作品ではなく、人とのつながりや自身のルーツを表現した作品になったことに自信をのぞかせた。

左から、マイケル・ファスベンダー、ジャイヤ・サエルア役を演じたカイマナ
左から、マイケル・ファスベンダー、ジャイヤ・サエルア役を演じたカイマナ[c]2023 20th Century Studios. All Rights Reserved.

カイマナは、自身も”第3の性”ファファフィネとして生きていても、やはりジャイヤ役は簡単な役柄ではなかったよう。ジャイヤ本人から「この物語は、私のストーリーや人生を正確に再現したものではないけれど、私の名前が使われて、私の要素を持つキャラクターではあります。でも同時にあなた自身の要素もあるし、さらにはこのキャラクターには、タイカの要素も書き込まれています」と言葉をかけてもらったことで、“本作でのジャイヤ”はあくまで作品の中の登場人物であるため、気負う必要はないと感じ、リラックスしたうえで役作りができたという。また、カイマナは本作が伝えたいメッセージについて「“喜び”のひと言です。そしてそれは、いまの世の中では亡くしてしまったもので、多くの喜びを感じる機会が失われてしまっていることを、私たちの多くが感じています。ほんの少しの幸せと喜びを、瞬間だけでもこの作品を観て感じてもらえたら、私たちは仕事を全うできたと思えます」と真摯に語った。


『ジョジョ・ラビット』で世界を涙に包んだワイティティ監督が、実話をベースにすべての“負けを知る”人々へ贈る、笑って、思わず涙する感動の物語『ネクスト・ゴール・ウィンズ』に引き続き注目してほしい。

文/山崎伸子

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