三池崇史監督が語る、『怪物の木こり』亀梨和也の魅力とバイオレンスに惹かれるワケ「亀梨くんのお芝居には、苦悩を伝える力がある」|最新の映画ニュースならMOVIE WALKER PRESS
三池崇史監督が語る、『怪物の木こり』亀梨和也の魅力とバイオレンスに惹かれるワケ「亀梨くんのお芝居には、苦悩を伝える力がある」

インタビュー

三池崇史監督が語る、『怪物の木こり』亀梨和也の魅力とバイオレンスに惹かれるワケ「亀梨くんのお芝居には、苦悩を伝える力がある」

三池崇史監督と亀梨和也が初タッグを組み、第17回「このミステリーがすごい!」大賞受賞作を実写映画化した『怪物の木こり』(公開中)。三池節の冴えわたるバイオレンス描写や、サイコパスの恐ろしさとせつなさを体現した亀梨の演技に注目が集まっている。「亀梨くんのお芝居には、“苦悩を伝える力”がある」と称えた三池監督が、本作のサイコパスに託した想いを語った。

冷酷非情なサイコパスが、シリアルキラーのターゲットに!意外な展開の連続で観客を釘付けにする
冷酷非情なサイコパスが、シリアルキラーのターゲットに!意外な展開の連続で観客を釘付けにする[c]2023「怪物の木こり」製作委員会

亀梨が、目的のためには殺人すらいとわない冷血非情なサイコパスを演じた本作。絵本「怪物の木こり」の怪物の仮面を被り、人間の脳を奪い去る連続猟奇殺人事件が発生。次のターゲットとして狙われた弁護士の二宮彰(亀梨)が、怪物との対決に挑みながら驚愕の真相にたどり着く様を描く。

※本記事は、本編の核心に触れる記述を含みます。未見の方はご注意ください。

「亀梨くんは、ふっと立っているだけでも美しい」

三池崇史監督は、原作への敬意を胸に作品に向き合った
三池崇史監督は、原作への敬意を胸に作品に向き合った[c]2023「怪物の木こり」製作委員会

原作を読んで、「サイコパスという、映画のなかでもたびたび描かれてきたキャラクターが主人公。しかし本作では、そのサイコパスがいままで描かれてこなかったような変化を見せる人間の物語であるという点に興味を持ち、そこをできるだけ表現したかった」と特異な主人公像に惹かれたという三池監督。「リスペクトを込め、できるだけ原作の魅力を損なわないように、逆に映画的にそれを加速させたいという想いで撮影に臨みました。原作で描かれているものを2時間ほどの映画にすることになるので、スピード感をあげたり、あるエピソードを一つにまとめたりと形を変えたものもありますが、すべてにおいて『こうしたほうが原作に近づけるのではないか。原作に届けばいいな』と思っていました」と原作への敬意を胸に、作品に向き合った。


三池崇史監督と『怪物の木こり』で初タッグを組んだ亀梨和也
三池崇史監督と『怪物の木こり』で初タッグを組んだ亀梨和也[c]2023「怪物の木こり」製作委員会

その特別なサイコパス役に抜てきとなったのは、アイドルであると共に、俳優としても活躍する亀梨和也。イメージをくつがえすような役柄にも果敢にチャレンジしてきた亀梨だが、本作で演じたのは、狂気のサイコパスとして殺人を重ねながらも、ある出来事をきっかけに「本当の自分とは?」と悩み、サイコパスとしての生き方に迷いが生じていく男。前半のサイコパスとしてのゾクゾクするような恐ろしさから一転、変化を遂げていく主人公の心のひだを、亀梨が繊細な演技で表現している。

三池監督は「誰がどう見てもちょっとサイコパスっぽいですよね(笑)。それくらい、ふっと立っているだけでも美しい。ナルシスティックな面もあって、そういったところもぴったりだった」と亀梨によるサイコパスとしての説得力を絶賛。「心のない暴力を振るうシーンも、よかったですよね」と目尻を下げながら、「演じる人の数だけ、それぞれのサイコパス像が生まれてくるものだと思いますが、本作をつくりあげるうえで忘れてはいけなかったのは、このサイコパスは人を傷つけることが目的ではないということ。そこに快楽を感じているわけではなく、『自分の邪魔になるから』という理由で仕方なく排除しているわけです。亀梨くんのお芝居からも、暴力に対して無感動な雰囲気が伝わってきてとてもよかった」とニヤリ。

亀梨和也が、変貌していくサイコパスを大胆かつ繊細に演じた
亀梨和也が、変貌していくサイコパスを大胆かつ繊細に演じた[c]2023「怪物の木こり」製作委員会

亀梨は、次第に感情が生まれてくる二宮の心の揺れまでを演じ切った。三池監督は「二宮はある歪んだ想いによって“怪物にされてしまった男”。ふと、自分が後天的に作られたサイコパスなんだと気づく。そこがこの物語の独特な点なんです」と切りだし、「考えてみると誰しもが、生まれてからいろいろな経験をして、いろいろなことを学び、傷ついたりもしながら、人との関わりによっていまの自分があるわけです。そんななかで『元々の自分って何者だったんだろう』『“自分らしさ”ってなんだろう』と思い出すことは、難しいことでもありますよね。二宮も『自分はなにをやりたかったんだろう』と立ち戻っていくことになりますが、亀梨くんのお芝居からは、そういった苦悩を伝える力を持っているなと感じました」と称えた。

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