三池崇史監督が語る、『怪物の木こり』亀梨和也の魅力とバイオレンスに惹かれるワケ「亀梨くんのお芝居には、苦悩を伝える力がある」

インタビュー

三池崇史監督が語る、『怪物の木こり』亀梨和也の魅力とバイオレンスに惹かれるワケ「亀梨くんのお芝居には、苦悩を伝える力がある」

「まっとうな道から外れた役を演じている時こそ、役者は光る」

怪物の恐ろしいビジュアルにも注目!
怪物の恐ろしいビジュアルにも注目![c]2023「怪物の木こり」製作委員会

サイコパスによる暴力、怪物の巻き起こす連続猟奇殺人事件、二宮と怪物との対決など、血飛沫の飛ぶバイオレンス描写も、もちろん大きな見どころだ。完成報告会では、二宮の婚約者・映美を演じた吉岡里帆が「撮影初日から猿ぐつわをさせられた」と本作ならではの撮影エピソードを振り返り、「三池監督は、小学生の男の子のよう。バイオレンスシーンを撮っている時の目のキラキラ感が強すぎた。監督の想いに、絶対に応えないといけないと思った」と楽しそうに話していた。“バイオレンスの巨匠“とも呼ばれる三池監督だが、人間の持つ暗黒面に惹かれるのは、「自然の摂理」だと微笑む。

菜々緒が連続殺人事件を追う警視庁のプロファイラー役で、新鮮な表情を見せている
菜々緒が連続殺人事件を追う警視庁のプロファイラー役で、新鮮な表情を見せている[c]2023「怪物の木こり」製作委員会

「まっとうな道から外れた役を演じている時こそ、やっぱり役者さんって光りますよね」と声を弾ませながら、「大河ドラマやなにかを観ていても、一番盛り上がって、その作品や役者さんの美しさを感じるのは、普通だと思っていた人が、苦悩をするなかで誰かを裏切った時だったりする。そして、バーン!と狂気を放った時に、観ているこちらは心地よさを感じて、エンタテインメントとして極上のものになる」と持論を展開。「人間というのは、自衛のために心に鍵をかけて、怒りや狂気を引き出しのなかにしまっているものなんだと思います。言うなれば狂気というものは本来、誰しもが持っているもの。狩猟をして動物を殺して食べたり、新しい木々を植えては、それを倒したり…。そうやって、破壊を繰り返しながら生きてきたのが人間です。現代は、醜い部分を隠そうとしているのが少し薄気味悪いなと感じることもあります。この世の中には美しいこと、醜いことが同じ分量だけ存在し、絶妙なバランスのなかで生きている。心のなかにある闇の部分が共鳴するからこそ、我々はダークマターに取り憑かれるのかもしれません。そこには癒しすら感じるのではないでしょうか」。


三池監督は「自分としても非常にやりがいのある作品」と手応えを口にした
三池監督は「自分としても非常にやりがいのある作品」と手応えを口にした[c]2023「怪物の木こり」製作委員会

絶妙なバランスのなかで生きている私たちにとって、二宮という“変化するサイコパス”は、正義と悪の境界線や、さらには人間の本質について考えさせてくれる存在かもしれない。三池監督は「人が作った法律によって、二宮をどう裁けるのか」と思いを巡らせ、「何事も起こらず、他人と変わらずに生きること。穏やかに現状を維持していくような幸せを、よしとする時代になっている。そういった幸せって、いま一度疑ってみる必要もありますよね。『“自分らしさ”ってなんだろう』と苦悩するサイコパスが、幸せについて考えさせてくれるような気もしています」としみじみ。「自分としても非常にやりがいのある作品で、とても好きな仕上がりに完成しました。バイオレンスで激しい映画かと思いきや、いい人間ドラマになっているので、そういった意外性もぜひ楽しんでほしいです」と心を込めていた。

取材・文/成田おり枝

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