『ゴジラ-1.0』山崎貴監督に読者の疑問をぶつけてきた!背びれギミックの創作秘話から、ラストの首模様の意図まで次々回答!
「今回のゴジラの魅力の一つでもある背びれ放射熱線のギミックはどういう経緯で思いついたのでしょうか」(20代/男性)
「これはインプロ―ジョン方式という原子爆弾の爆発の仕方を参考にしています。基本的な原理は、少し離れたところにある核物質を一気に凝縮させて、臨界点に達したところで爆発するというものなのですが、こういうガシャンって一つに集まるイメージが欲しかったんです。今回のゴジラは滅多に熱線を吐かないので、その前に予備動作というか儀式を盛り上げるような要素を入れたくて。いろいろ考えた結果、今回のだんだんと背びれが上がっていくギミックを思いつきました」
「本作では伊福部昭の音楽が印象的に使われていますが、その中に『モスラ対ゴジラ』の『マハラモスラ』や『キングコング対ゴジラ』の『ファロ島の祈りの歌』が含まれているのは、どういう意図でしょうか?」(40代/男性)
「画に合っていたからで、曲が持っている背景を背負っているわけではないんです。もともと既成曲を使わせていただく話はしていたんですが、この曲を入れたらどうなるだろうと思ってやってみたら曲調が画のタイミングとぴったりで。伊福部さんの曲なので音楽自体は一切いじっていないんですが、恐ろしいくらいハマったということです」
「ラストの浜辺美波の首にあった模様はなんですか?」(20代/男性)
「明言は避けたいと思いますが、なぜ典子はあんな目に遭っても死ななかったのかということですね。最後に敷島を典子と会わせてあげたかったんですが、いかにも的なハッピーエンドにはしたくないので、ああいう形で典子を生かしたと。やっぱりゴジラが戦争や核の象徴である以上、死にはしませんでしたがこの先幸せだけが待っているわけじゃない。ハッピーエンドは嫌だけど、バッドエンドにもしたくないという着地点です」
「歴代ゴジラシリーズの中でどの作品がお好きですか?ベスト3あたりまでお教え頂きたいです!出来ればその3作品に対する思い入れ等も!」(40代/男性)
「初代『ゴジラ』と『ゴジラ・モスラ・キングギドラ 大怪獣総攻撃(GMK)』、『シン・ゴジラ』ですね。初代はしっかりした人間ドラマがあるし、ゼロからゴジラを生み出しているところもいいですね。なによりすばらしいと思うのはドラマとゴジラのバランスで、あのドラマがなかったら成立しない作品になっているところです。『GMK』は映画として観て、普通に怪獣が怖い。怖いゴジラはいいなと素直に思いました。『シン・ゴジラ』は衝撃的でしたね。現代で『ゴジラ』を作るならこれが正解というか、最適解だと思いました。いまの時代ならではの問題やメンタリティがちゃんと描かれていて、ほんと衝撃的でした」
「先日トークショーされていた金子修介監督もそうですが、少年映画が上手な監督は怪獣映画も上手なイメージです。山崎監督が考える両者の類似性、実際に作って感じたことを教えてください!」(30代/男性)
「ジャンル映画というのはある意味、子ども的な感性が必要ということだと思います。我々のような監督は向いているんだと思います」