永山瑛太、『身代わり忠臣蔵』で確信「ムロツヨシという俳優はこの時代に必要」20年ぶりの映画共演に感無量
時代劇ヒットメーカー土橋章宏の小説を映画化した『身代わり忠臣蔵』(2024年2月9日公開)の完成報告会見が、赤穂浪士が吉良邸に討ち入りを果たした日であり、“忠臣蔵の日”として制定されている12月14日に行われ、ムロツヨシ、永山瑛太、土橋章宏(原作、脚本)、河合勇人監督が登壇。坊主の劇中衣装に身を包んだムロ、赤穂浪士の姿で登場した永山が撮影秘話を明かした。
日本中で愛される時代劇「忠臣蔵」をベースに、“身代わり”という斬新なアイディアを加えて生みだされた小説を映画化した本作。ムロが主人公の吉良孝証(きらたかあき)とその兄である吉良上野介を演じ、初めての一人二役に挑んでいる。またムロとは映画としては20年ぶりの共演となる、永山がバディ役となる大石内蔵助として参戦した。
時代劇初挑戦となった河合監督は「『忠臣蔵』は日本が世界に誇るコンテンツ。まさか自分が『忠臣蔵』の監督をやるとは夢にも思っていなかった。すごく誇りに思います」と切りだし、「土橋さんの原作を拝見させていただいところ、吉良(上野介)に弟がいて、身代わりになるという斬新なアイデアが描かれていた。これは新しい『忠臣蔵』ができるのではないかと思った」とコメント。キャスティングは「ムロさん以外ありえず、脚本もムロさんありきで作っていた。大石が永山さんというのも一致していた。二人は当て書きです」と並々ならぬ信頼と共に、ムロと永山に任せたと明かした。土橋も「ムロさんをずっと観られる幸せがある」と見どころを口にするなか、オファーを振り返ったムロは「僕らよりも下の世代の皆さんに、どのようにお届けしよう、なぜ仇討ちがあったのか、止められなかったのかを伝えなければいけないと、使命を考えさせられた」と強い想いを明かしていた。
『サマータイムマシン・ブルース』(05)以来の映画共演となったムロと永山は、プライベートでも深い仲だという。脚本を受け取った永山は「いまの時代にとって必要な『忠臣蔵』なんじゃないかと強く感じた」と同時に、「ムロくんが『忠臣蔵』に爪痕を残すなという予感がした。それは、いい意味でも悪い意味でも」と話し、ムロも会場も大笑い。「現場に行ってみるとムロくんのパワー全開で、誰も止められないなというか、もちろん天才性も感じた。その言葉だけでは片付けられない、ムロくんの人間性が作品のなかにすべて映っている。20年前に一緒に映画をやらせていただいてから、いろいろと感慨深いものがありながらも、ムロツヨシという俳優がこの時代に必要なんだなと感じた」とムロへの賛辞と愛情をたっぷりと傾けた。
「うれしいです」と照れ笑いを見せたムロは、「映画の世界でまた再会できて、お芝居を通していろいろな想いをぶつける機会があったことは、とてつもなくありがたかった」としみじみ。共演は「緊張した」とも告白しつつ、「パッと横顔を見た時に、またかっこよくなったなと思いました、家族を持ったりと、僕の知らない感動などを持っているなと。憧れもあった」と永山に羨望の眼差し。すると永山は「ムロくんはやっぱり色気がある。いい男だったんだと思った(笑)」と賛辞が止まらない。劇中では役柄同士が見つめ合って覚悟を決めるシーンもあり、永山は「20年前に出会って、違った道を歩いて来たうえで、いま巡り会えた。俳優ムロツヨシ、やっぱりすごくいいなと感じた。ぶわっとなにかあふれてしまうんじゃないかというシーンだった」と終始、感慨深げだった。「2人が褒め合っているだけ」と照れながら大笑いしたムロは、「一対一で会話をするシーンはすごく心に残っています。ここまで来られたな、(俳優として)まだ生き延びているなあと。どうやったら生き延びられるかと悩みを相談していたこともある。そんなことも乗せられたシーンでした」と目尻を下げていた。
取材・文/成田おり枝