本郷奏多が心がける漫画原作の実写化作品との向き合い方…「幽☆遊☆白書」では自身とチームの意識を大切に
「飛影の代名詞で一番の必殺技“黒龍波”を打てたのは感動でした」
本作の見どころでもあるアクションシーンは、準備に時間をかけた。「めちゃめちゃ時間をかけてトレーニングをして挑んだので、だいぶアクションができるようになったという実感があります。撮影も大変でしたが、とにかく練習がハード。撮影に入る前、1年くらいかけて毎日3時間のトレーニングを計3~40回、100時間以上はやりました。毎回ボロボロになりながら、あざを作りまくって」としみじみ。
「これまで剣もワイヤー(アクション)もいろいろやってきたけれど、いままで求められてきたレベルとは全然違う現場でした。このくらいできたらもう大丈夫かな、というゴーサインが出るラインが全然見えなくて…。とことん追求して、ひとつできるようになると、じゃあ次はこれもやってみようか、といったクリエイティブもあったりして。とにかく追い込まれてました」と、大変さを滲ませると同時に充実感も漂わせる。「アクションは決められた手(型)をこなすものだと思っていたけれど、途中から本当に“戦える”ようになっていました(笑)。戦っているという感覚を手に入れることができた、というのかな。確実にアクションのレベルが上がったし、見える世界が違うところまでは行けたかなと思っています。今後のための基礎になりました」と自信をのぞかせた。
本郷自身も楽しみにしていたのは飛影の必殺技“黒龍波”。「飛影は普通に肉弾戦もこなすし剣も強い。見せ場はたくさんあるけれど、やっぱり飛影の代名詞で一番の必殺技“黒龍波”を打てたのは感動でした。これを10年、15年前に映像化していたら、たぶんチープな出来になっていたと思います。2023年、ここまで進化した世界基準のVFXで作った“黒龍波”はめちゃめちゃカッコよかったし、説得力が出たと満足しています。この技は、打つことで体がボロボロになってしまうくらい、危険ですさまじいパワーを秘めたものなので、その表現が見れたことはうれしかったです」。
漫画原作の実写化では欠かせない存在で、どの作品でも原作ファンをも魅了している本郷。実写化作品ではどのようなアプローチを心がけているのだろうか。「僕個人としては人気のある原作をあくまで“お借りして”作らせてもらっているという感覚です。キャラクターのイメージは大事にしたいと思っているので原作は必ず読みます。アニメも印象の強い作品だったら観ます。それこそ今回の『幽☆遊☆白書』では、声優さんの発声の仕方や声のトーンは研究させていただきました。常に原作を大切にして演じるようにしています」と自身の思いを明かす。今回の「幽☆遊☆白書」は“原作の再現”ではなく、実写化作品としての「幽☆遊☆白書」を作ることをテーマにしていたため、原作をそのまま映像化するという作り方とはまた違っていたそう。「美術チームや撮影チームもそういった心づもりで動いていたので、僕個人としては原作のイメージとチームの意識、その両方を大切にしながら組み立てていきました」と本作ならではのアプローチも教えてくれた。
続けて本郷は、Netflixシリーズ「幽☆遊☆白書」の新しさもアピール。「本当に観たことのない映像の連続でした。僕が携わっていないシーンでめちゃくちゃ感動したのが、蔵馬が縦横無尽にビュンビュン飛び回っているワンカットの長いアクションシーンです。志尊(淳)くんが演じているところと、アクション部が演じているところ、その間をどうつないでいるのか。おそらくCGキャラクターかと思うのですが、これまではカットを割ってしか撮れなかったものなのに、いまの技術でありえないつなぎ方をしてワンカットにしてしまう。そういうところにも感動しました」と目を輝かせながらピックアップ。「いままでだったらできない映像表現ができるようになっている、新しいことにもチャレンジしていると思います」とうれしそうに語った。