最新作『〈ワルプルギスの廻天〉』に向けて高まる期待!「魔法少女まどか☆マギカ」のストーリーと衝撃を振り返る
平和で理想的な魔法少女たちの日々に生まれる違和感
テレビシリーズを二部作で再編集した『劇場版 魔法少女まどか☆マギカ 前編 始まりの物語』(12)と『劇場版 魔法少女まどか☆マギカ 後編 永遠の物語』(12)に続く劇場作品として製作された『劇場版 魔法少女まどか☆マギカ 新編 叛逆の物語』は、まどかが円環の理となり魔法少女の悲劇に終止符を打ったテレビシリーズ最終話の続編という位置付けだ。
ところが、まどかのクラスにほむらが転校生としてやって来るなど、テレビシリーズと既視感のある展開に。ただ、彼女たちはすでに魔法少女であり、マミやさやか、杏子らと共に、ナイトメアと呼ばれる敵を倒す任務に当たっていた。
ファンタジックな魔法を駆使し、ナイトメアを倒す可憐な少女たち。いかにも理想的な魔法少女の世界に見えるが、どうも違和感が拭えない。人間ではなくなったはずのまどかが存在し、当たり前のように魔法少女として活躍している。隣町にいたはずの杏子がなぜ同じ中学校に在籍しているのか、なぜマミは自身を殺したはずの魔女と共にいるのか…?
ほむらもこの違和感に気づき、ついにその真相にたどり着く。この世界は現実ではない―。
すべてはまどかを救うため…。ほむらによって新たに再構築された世界
実はこの世界はほむらによって創られた“偽りの世界”だった。魔女化しつつあった彼女は結界のなかに閉じこもり、円環の理を観測しようとするキュゥべえに利用されていたのだ。すべてを悟ったほむらは、円環の理に導かれず魔女になることを受け入れようとするが、さやかたちが助けに現れる。
そして、ほむらを導くために円環の理=まどかも登場する。まさに浄化されようとしたその瞬間、怪しい笑みを浮かべ、差し伸べられたまどかの腕をつかむほむら。「まどかを救うこと」を望む彼女は、まどかから人間の記憶を引き抜くことで円環の理としての概念を引き裂き、新たな世界を構築してしまう。ほむらは魔女をも超越した、もはや“悪魔”ともいうべき存在となったのだ。
まどかに対するほむらの“愛”によって創られ、違和感を抱えながらも表面的には平和に回転している新たな世界を映しながら、本作の幕は閉じられた。
2024年冬に公開が予定されている『劇場版 魔法少女まどか☆マギカ 〈ワルプルギスの廻天〉』はどのような物語になっているのだろうか。まどかとほむらは救われるのか、また呪いを育ててゆくのか。先の読めない展開から目を離せそうにない。
文/藤堂真衣