生田絵梨花が明かす、劇中歌に込めた“願いの力”と“N”の発音「1番のサビはまだ自分に言い聞かせているような感覚」
「夢が叶った一年ですが、叶えて『はい、終わり』ということではない」
本作以外にも、ミュージカル、ドラマ、映画と多方面で活躍した2023年。生田は「忙しくさせてもらいました。山がありすぎて、山脈を登山していたような感覚です。山を越えてもまた山がある。そういった意味では、足腰が鍛えられたと思います」と振り返りつつ、「そのなかでもディズニー声優はやっぱり大きい出来事でした。夢が叶った一年ですね」としみじみ。
そして「夢は叶えられたんですが、叶えて『はい、終わり』ということじゃない」と続ける。「今度はその次に繋げられるように、自分がより感情を伝えられるような人間になるため、地道に頑張っていきたいです」と向上心を忘れない。そんな生田に、本作を二度、三度と楽しむための注目点を聞いてみると「たくさんありますが、意外と知られてないと思うのは、スターの表情や仕草がミッキーマウスをモチーフにしているということですかね。とってもチャーミングで、どこか親近感が湧くのはきっとそれが理由。意識して見ていただけたら、楽しんでもらえると思います」と微笑んだ。
「強い願いの力を歌う楽曲ですが、冒頭はまだアーシャにも迷いがあるんです」
作品内だけでなく、本作のイベントや音楽番組でもたびたび披露をしている劇中歌「ウィッシュ~この願い~」。特に「あきらめることはない」と歌う場面での、「ない」のフレーズが力強く、印象的だ。生田は「たしかによく言われます(笑)。けど、最初はそんなに『ない』を意識して強くしようと思っていたわけじゃないんです」と話し始めた。
「自然に心情が乗っていって、結果的に強くなっていったということなんですけど、言われているうちに、最近は『ない』の“N”の発音がより強く、溜め気味になっているところはあるかもしれません(笑)」と言いながらも、「一番大事にしているのは、楽曲の一連の流れです」と口にする。
生田は「強い願いの力を歌う楽曲ですが、冒頭はまだアーシャにも『信じた道は正しいのか』という迷いがあるんです。1番も2番もサビの歌詞は一緒なんですが、1番のサビはまだ自分に言い聞かせているような感覚」と、曲中で変化していくアーシャの心理を分析。
「大サビの一歩手前にある『一人じゃないから』というフレーズは、劇中でアーシャのお父さんの姿が目に一瞬映るシーンです。大切な人を思う気持ちが、『進んでいくんだ』という覚悟に変わっていく。そうやって1曲が一つのストーリーのようになっているので、毎回、歌う時には、ちゃんとその道筋を通っていけるように意識しています」と劇中の展開を歌声に反映させていることを教えてくれた。
取材・文/山田健史