2024年は怒涛のバイオレンスアニメ『BLOODY ESCAPE』で映画始め!谷口悟朗が仕掛ける世界観とキャラクターの魅力を深掘り

コラム

2024年は怒涛のバイオレンスアニメ『BLOODY ESCAPE』で映画始め!谷口悟朗が仕掛ける世界観とキャラクターの魅力を深掘り

キャラクターのドラマ性が、怒涛のアクションをさらに盛り上げる!

主な舞台となる“新宿クラスタ”など、それぞれ実在の東京の街のカルチャーや風景を生かして描かれた内部の光景もまた見どころの一つであり、とりわけ新宿の雑多な街並みのディテールは見逃せない。

【写真を見る】東京の街が“魔改造”!?「コードギアス」の谷口悟朗が作りだした独特の世界観に引き込まれる
【写真を見る】東京の街が“魔改造”!?「コードギアス」の谷口悟朗が作りだした独特の世界観に引き込まれる[c]2024 BLOODY ESCAPE製作委員会

新宿クラスタの壁の内側で生まれ育ち、そこで学んでいくうちに壁の外側へと憧れを抱くようになるルナルゥ。将来が限定され、一元的な価値観に囚われた抑圧された環境から広い世界を求めるその姿は、劇中のような特殊な世界に限らず若者特有の心理といえよう。


ほかにも魅力的なキャラクターは多数登場するが、なかでもMVPと言える働きを見せるのが不滅騎士団の問題児ジャミ(声:内田雄馬)だろう。組織の輪を乱すかのように一人で突っ走り、ちょっぴり愚かで頼りなさげでありながらも、そこには闇雲に上に従うだけではなく自らの美学に基づいた忠誠心が見受けられる。それもまた、彼の正義なのであろう。どんなことがあっても持ち前の朗らかさを失わずに共に戦うジャミ。今後も拡大していくであろう「エスタブライフ」ワールドのなかで、深く描かれてほしいキャラクターだ。

不滅騎士団の戦闘員でもあるジャミ。キサラギと共に物語を動かしていくキャラクターだ
不滅騎士団の戦闘員でもあるジャミ。キサラギと共に物語を動かしていくキャラクターだ[c]2024 BLOODY ESCAPE製作委員会

こうしたキャラクターたちの魅力に触れ、その背景にあるドラマ性に想像を膨らませながら作品を観れば、終盤に訪れる怒涛のアクションシーンはさらに熱く、スリルも見応えも倍増することだろう。新宿クラスタの壁の外で繰り広げられる、ヤクザ組織を巻き込んだ熾烈な三つ巴戦の大迫力に、クライマックスでの列車を使った攻防戦。まるで実写のアクション映画を観ているような臨場感を携えながら最後の最後まで派手さの先にあるドラマティックなアクションを展開させる胆力からは、谷口監督の手腕が遺憾無く発揮されていると見える。

「秘密を知ったものを生かしてはおけない」とキサラギと妹のルナルゥを不滅騎士団が追い詰める!
「秘密を知ったものを生かしてはおけない」とキサラギと妹のルナルゥを不滅騎士団が追い詰める![c]2024 BLOODY ESCAPE製作委員会

そして一寸も弛むことのない緊張感で駆け抜けていった逃亡劇の果てに、想像もしていなかった感動を味わうことになるだろう。2024年の映画初めにぴったりの圧倒的なエンタテインメントを、是非とも劇場で見届けてほしい!

文/久保田 和馬

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