安元洋貴がジェイソン・モモアとの歩みを語る「『ワイスピ』のダンテも印象深くて大変な役だったが、アクアマンは思い入れが強い」
「(アクアマンの)最後の決断の意味を感じ取ってもらえたらうれしいですね」
そんなパワフルな見せ場のほか、前作で敵対していたオームと手を組んだり、親と子の絆を描いたりとドラマ面でも熱い見せ場が盛り込まれた。「家族のシーンはぐっとくるものがあった」という安元にお気に入りのシーンを聞くと、予告編でも使われたアクアマンとオームを母アトランナ(ニコール・キッドマン)が抱擁するシーンを挙げた。「母にとってはどちらも大切なかわいい子ども。対立していた2人が組むのは大変なことだし、彼らが挑むのも厳しい戦いです。送り出す側としてはつらいんだけど、兄弟が並んだ姿を目にした母親はある種喜びの表情を浮かべるんです。彼女を通し、改めて家族や兄弟の絆を感じさせるところはすごく印象的でした」。
映画を通して最も好きなシーンに挙げたのは、戦い後のラストシーンだった。「やっぱりエンディングですね。アクアマンは最後に大きな決断をするんです。ある意味アトランティスが頑なに拒んできたことを彼が動かすという。そこにいたるまでの流れというのが、今作の裏テーマだと思います。詳しくは映画を観てほしいんですが、最後の決断の意味を感じ取ってもらえたらうれしいですね。そこでのアクアマンの笑顔、本当に明るく力強い笑顔もいいですね」。
「愛すべき者がいるから頑張るという思いがあふれ出ていると感じます」
ステッペンウルフの名曲「ワイルドでいこう!」で幕を開ける本作は、アクアマンを地でいくモモアの魅力を前面に出した痛快さも魅力。「ハーレーダビッドソンに乗るシーンがありますが、ほんとアメリカンバイクが似合う人ですね。『アクアマン』でありながら、ジェイソン・モモアさんのPVみたいなイメージもありました(笑)」。『アクアマン』のほかにも、『DUNE/デューン 砂の惑星』(20)など多くの作品でモモアの吹替えを演じてきた安元。『ワイルド・スピード/ファイヤーブースト』(23)では悪役だが、それでもモモアの魅力は変わらなかった。「ジェイソン・モモアさん自身がエキセントリックというか、すごく陽気な方なんでしょう。でもその陽気さのなかに、『ワイルド・スピード』には狂気があった。本作にはそれがなく、愛すべき者がいるから頑張るという想いがあふれ出ていると感じます」。
当たり役としてモモアを演じてきたなかで、特に印象が強いキャラクターを聞くとアクアマンという答え。「最初に僕が演じたのがアクアマンだったということもありますね。『ワイルド・スピード/ファイヤーブースト』のダンテも印象深くて大変なキャラクターでしたが、アクアマンは思い入れが強いんです。そんな役にまた会うことができて、とてもうれしいですね」という安元はタフガイやダンディな役で知られるが、モモアにシンパシーを抱く部分はあるのだろうか。「おこがましくてちょっと言いづらいですが…タフなイメージからか僕もそういう役が多いんですが、いつも彼のタフさは見習いたいと思っています」。
最後に『アクアマン/失われた王国』をどんな人に勧めたいか?と聞くと、「笑顔になりたい人」と即答だった。「爽快感の塊で、エンタテインメントの塊。すっきりできるし、観終わったあと、みんなが笑顔になれる映画だと思います。観る人を選ばない作品になっているので、たくさんの人に観ていただきたいですね」。
取材・文/神武団四郎