「ワンダーハッチ」キャスト陣が語る「ついて行こう」と決意させた監督の熱量!「日本人の僕らだから作ることができた」
「今回一番大変だったのは、圧倒的にウーパナンタ語ですね(笑)」(奥平)
――まさに新しいことがいっぱい詰まった作品ですけど、キャストの皆さんが本作で初めて挑戦したことはありますか?
中島「私はそもそも、4か月にもおよぶ撮影自体が初めてだったんです(笑)。ファンタジー作品も初めてだったし、CGを使ったここまで大規模な撮影も初めて。本当に初めてのことばかりだったから、すべてがすごく新鮮で楽しかったです」
――第4話ではタイムと一緒にドラゴンのガフィンに乗って空を飛ぶシーンもありましたが、撮影はいかがでしたか?
萩原「あれ、難しいんですよ。ガフィンが意外と小さいので、2人を乗せて飛ぶシーンのリアリティを作るのが大変で」
奥平「現場では、スタッフさんたちが下でグワーって揺すってました(笑)」
萩原「でも、それだけだと違和感があるので、あの飛行シーンの時のガフィンのCGは120パーセントぐらいデカくしてるんですよ(笑)」
奥平「ああ、そうなんですね!でも、僕が今回一番大変だったのは、森田さんもたぶんそうだと思うんですけど、圧倒的にウーパナンタ語ですね(笑)。この世にない言葉を喋ることは、大変でした」
森田「気が狂いそうだった(笑)」
奥平「スゴかったですね、本当に。普段絶対しないような発音なのに、それをスラスラ喋らなきゃいけないから、あれはなかなか難しいものがありました」
森田「量にしたら僕は全然少なかったけれど、あの時期は呪われていて。ちょっとボーっとすると、ウーパナンタ語が自然に出てきて、勝手に喋ってるみたいな(笑)」
奥平「いや、本当にそうでした(笑)」
萩原「あれは人工言語の研究をされている東大の中野智宏先生が、本作のために作ってくださったオリジナルの言語で。名詞でつながっているのではなく、文法もちゃんとあるから、原語的な説得力もあるんですよ」
奥平「僕、文法書をもらいましたよ」
――文法書まであるんですね!?
萩原「でも、ちゃんと喋れる人は中野先生しかいないという(笑)」
中島「私のセリフは『カサミ・ダミダラ(“世界を救う”という意味のウーパナンタ語)』だけでよかった(笑)」
奥平「ああ、そうだったね(笑)」
「ファンタジーの世界観を、実写でどう現実味を持たせて描くかが作品全体のチャレンジでした」(萩原監督)
――森田さんはほかにも、初めてやった大変なことはありましたか。
森田「やっぱりアクションですね。俺、アクションをやるって最初のうちはわかってなくて。監督に会ってから、どうやらアクションがあるっぽい、これは大変なことになったぞと思ったし、ちょっと騙されたような気分でした(笑)」
中島&奥平「(爆笑)」
萩原「あっ、最初は、もしかしたらアクションがふんだんに盛り込まれている第7話、第8話の台本が渡っていなかったのかもしれないですね」
森田「たぶん、そうだと思います」
――でも、そんなことを感じさせないぐらい、アクタ(タイムが憧れていた“ドラゴン乗りの英雄”)に扮した新田真剣佑さんとのクライマックスのアクションはカッコよかったし、すごい迫力でした。
森田「彼(新田)は若いけれど、師匠みたいでした。合わせてくれるところは合わせてくれるし、ちゃんとリードしてくれて。アクションチームはけっこうおじさんばかりだったけれど(笑)、みんなヒーヒー言いながら殺陣(たて)を一生懸命考えてくれました。僕は何度も“無理だ!もう、やめとこう”って思ったけれど、仕上がったものを観た時はやっぱりすごい迫力で、カッコいいなと思いました」
萩原「本作のクライマックスでスペースがアクタと戦っている場所は、上空100m、直径15kmのピュトンピュトの上が舞台なんですね。でも、実際は(合成用の)グリーンバックを張った、なにもない狭いスタジオで撮影していて。そこで、風がビュービュー吹いているような状況や、そんななかでどれぐらいの声量で喋ったら声が届くのか、といったことはなかなかイメージできないですよ。今回はそのファンタジーの世界観を、実写でどう現実味を持たせて描くのかといったことが作品全体のチャレンジでした」
――実際にはどんなことをされたんでしょうか。
萩原「CGチームが実際に実写の現場にきて、カメラや役者の動きによってCGで描かれた背景を動かし、どう変わるのか、どうしたら広い画になるのか、といったことをリアルタイムで確認しながら撮影したんです。それはわりと新しい、日本ではまだあまりやられていない手法だったんじゃないかなと思います」