「ワンダーハッチ」キャスト陣が語る「ついて行こう」と決意させた監督の熱量!「日本人の僕らだから作ることができた」
「タイムが最後に出す答えは、彼にしか出せないものだったと思います」(奥平)
――本作はファンタジーやアクションの要素もありますが、根底にあるのはナギとタイムの成長の物語です。そのあたりで、中島さんと奥平さんはなにか意識したところはありますか?
奥平「序盤と後半ではタイムの心情や考え方は変わるし、どんどん自分の答えを見つけながら成長していくので、その積み重ねていく感じはシーンごとに意識していました。それこそタイムは、最後に究極の選択を迫られます。ネタバレになるのであまり詳しいことは言えないけれど、タイムが最後に出す答えは、究極の選択を迫られた彼にしか出せないものだったと思います」
中島「ナギはすべて不信感から入るんですよね。学校に対しても周りの人や大人たちに対してもそう。タイムのこともたぶん最初は全然信じていなかったと思うけれど、タイムが本当にまっすぐな人だったから、彼女もどんどん変わっていくことができたと思うんです。そのあたりの、ナギ自身の考え方が明るくなっていくところは意識していました」
――今回が皆さん「はじめまして」だったと思うのですが、長期間の撮影を通してお互いの印象は変わったんでしょうか。
奥平「最初のころのセナさんは、わりと静かな方なのかなっていう印象だったんです。でも、撮影中はタイムとナギ、(ナギの親友の)ソンが一緒にいることが多くて、ソンを演じたエマくん(エマニエル由人)が楽しい人だったからかもしれないけれど、彼がちょっとふざけた時にセナさんもすごいノリノリになって。思っていたよりも明るい人なんだなって、その時に思いました(笑)」
中島「私も最初は奥平くんのことを静かな方と言うか、クールな人だなと思っていましたね。だから…」
奥平「エマくんが一緒にいなかったから…」
中島「また違った関係や空気感になっていかもしれないですね(笑)」
――お2人の森田さんの印象は?
奥平「森田さんはやっぱりスペースのイメージが強かったので、最初のうちは怖かったですね。でも、第8話の撮影のころはスタジオで一緒にいることも多かったから、年下の僕が言うのもなんですけど、物腰が柔らかくて、気さくな方なんだというのがわかって。それぐらい最初と最後のギャップがありました」
中島「私は、残念ながら森田さんとあまり話せてないですね」
森田「話してないかもしれない!」
奥平「セナさんはそもそも、森田さんと一緒のシーンはあまりないものね」
森田「でも、僕は下の世代と言うか、若い人たちと仕事をする機会があまりないから勝手に楽しんでいました(笑)。大人になると、無意識に芝居をセーブしたり、コントロールしちゃうじゃないですか。でも、彼らを見ていると振り切ってる感じが毎回して。それがちゃんと作品にも出ているからすばらしいなと思いました」
――最後に、これから本作を観る世界中の人たちにメッセージをお願いします。
中島「実写とアニメで一つの世界を描く、まったく新しいファンタジーなので、やっぱりその感覚は味わって欲しいし、私自身も見て楽しかった壮大なセットやナギとタイムの成長も見ていただけたらうれしいですね」
奥平「タイムとしてはいろいろ伝えたいという気持ちもあるんですけど、それ以上に、この作品を純粋に楽しんでほしいですね。実写とアニメで描くこういう日本のファンタジーもなかなかないし、独自の世界観の物語になっていると思いますから」
森田「映像がもちろん綺麗なんですよ。めちゃくちゃ。でも、それと同じぐらい、登場人物たちの心もすごく綺麗で。そこがこの作品の魅力なのかなと思っているので、その綺麗な心を感じてもらえたらうれしいですね」
萩原「日本を舞台にしたヒーローものを作りたいという想いもありました。マーベルは僕も好きで観ますけど、あれはアメリカ的なヒーローの答えだと思うんですよ。じゃあ、日本でヒーローを描いたら、どういう答えを出すのか?そこの描写は、やっぱり日本人の僕らだから作ることのできるメッセージだと思っていますし、ナギは日本人だけど、その答えを出すのがウーパナンタ人のタイムというところには皮肉も込めています。そのメッセージを日本の人たちにも感じ取ってもらいたいし、タイムが出した答えを世界中の人たちがどう受け止めるのか。そこは僕自身もちょっと楽しみしているところです」
取材・文/イソガイマサト