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山田涼介と浜辺美波が語る、難役へのアプローチ方法「山田さんは頑張ってキラキラを消していました」

インタビュー

山田涼介と浜辺美波が語る、難役へのアプローチ方法「山田さんは頑張ってキラキラを消していました」

「距離を徐々に徐々に詰めていくプロセスは自分の中で大切にしていたと思います」(山田)

――蒼と美夏、2人の距離が縮まっていくところは、どんなことを意識して演じられました?

山田「内田監督のオーダーの仕方がすごく独特だったんですよ。前半のシーンの撮影では『死んだ魚のような目で世界を見てくれ』ってずっと言われ続けていたし、『目の奥10センチで美夏を見て欲しい』みたいなことも言われて。だから、最初は『どういうことなんだろう?』という戸惑いもありました。でも、物語を辿っていくうちに、なんとなくわかってきたので、その都度理解しながら演じていました」

多彩な表情で蒼の心痛を表現してみせた山田涼介
多彩な表情で蒼の心痛を表現してみせた山田涼介[c]2024「サイレントラブ」製作委員会

――「目の奥10センチで見る」というオーダーをどう受けとめられたんでしょうか。

山田「グラデーションをつけていく感じで、『美夏を見る時だけは、ほかの物を見る時と違う目をしていてほしい』ということなんだろうなと思いました。最初から、そう言ってくれればわかりやすいんですけどね(笑)」

――美夏に対する蒼の想いが高まっていくのを、言葉が使えない状況で、どのように表現しようと思いました?

山田「過去のある出来事のせいで『自分の手が汚れている』って思いながら生きている蒼は、綺麗なものに触れられない、汚したくないという想いが強かったんじゃないかなと思ったんです。それで『自分の手を服で拭いてから、美夏の手に触れた方がいいんじゃないですか?』って現場で監督に提案させていただいたんですけど、そんな感じで『こっちのほうがいいと思います』みたいな話し合いをすることは多かったし、距離を徐々に徐々に詰めていくプロセスは自分の中で大切にしていたと思います」

静かに絆を深めていく2人
静かに絆を深めていく2人[c]2024「サイレントラブ」製作委員会

浜辺「美夏は最初から目が見えないわけではなくて、事故で不自由になってしまった女性です。そこが、ハンディを抱えた人を描くほかの作品とは違う本作の特色だと思いましたし、先程の話とも重複しますが、そんな彼女の悔しさやピアニストになる夢を諦めきれない葛藤、心の整理がまだついてない状況をまずは大切にしたいと思いました。それを踏まえたうえで、美夏がどれぐらい人を感じるのか、受け入れるのかといったことを監督と相談しながら調整していきました」

「セリフがある作品より台本を読んだような気がする」(山田)

――いまの話の続きになりますが、言葉に頼れない、見て反応できない、制限された表現をするうえで心掛けたことや工夫したことがあれば教えてください

山田「蒼は目が不自由な美夏のボディガードを勝手に始めることになるのですが、その時の様子が怖い人やストーカーに見えたら嫌だなっていうのはありましたね(笑)。だからそこは、監督と現場ですごく慎重にギリギリのラインをねらっていきました」

――具体的にはどうしたのでしょうか。

山田「キャラクターを明確にしたほうがいいと思ったし、勝手にやっているんですけど(笑)、その行為が愛おしく見えたほうがいいなと思ったんです。なので、さっき話した手を拭く行為などを丁寧に入れながら、不器用なりに、彼が『この子を守りたい』という想いで一生懸命やっているのが伝わるように心掛けました」

蒼は、美夏と交流するために北村とある取引を行う
蒼は、美夏と交流するために北村とある取引を行う[c]2024「サイレントラブ」製作委員会

――演じながら、ここで言葉を発することができたら楽なのになって思うことはありましたか?

山田「それは毎日です(笑)」

浜辺「そうですよね(笑)」

山田「それこそ逆に、セリフを覚える必要がないから楽なのではと思う人がいるかもしれないけど、セリフがある作品より台本を読んだような気がする。『ここってどういう感情なんだろう』っていう芯の部分まで台本から読み取らないと表情に出せないから、台本をいつも読んでいたなという印象がありますね」

浜辺「私の場合は、どちらかと言うと目に頼らない分、天気とか風向きとか、その日の空気をなるべく感じることに集中していました。台本は読んでいても、蒼さんの動きは現場でどんどん変わるので、山田さんの体温を感じながら、それを逃さないようにしていました」

――実際には目が見えている状態で、視力を失っているお芝居をするのは難しかったのではないでしょうか。


【写真を見る】透き通りそうなほどの透明感…美しすぎる浜辺美波の撮りおろし
【写真を見る】透き通りそうなほどの透明感…美しすぎる浜辺美波の撮りおろし撮影/You Ishii スタイリング/瀬川結美子  ヘアメイク/George

浜辺「最初は慣れなかったです。あまりキョロキョロすると不自然に見えるし、美夏は目が見えないことを知られたくないし、心配されたくもない。違和感をあまり出したくないと思っているような少女だったので、なるべく1点を見つめるようにしていました。ただ、自然の中で撮影することも多かったので、虫には悩まされました。目の前に飛んできても見ちゃいけないし、あれは大変でした(笑)」

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