「ワンダーハッチ」を映画のプロたちが総括!「日本が手を出し難かった壮大なファンタジーへの挑戦」
「異世界のキャラがGAPの服着てる~!って思ったし、そういうところもおもしろくて好きでした(笑)」(阿部)
イソガイ「みなさんの好きなシーンや印象に残っているところも教えてもらえますか?」
阿部「第2話のアニメパートにあった、タイムがサイラのところを訪れるシーンです。彼女の部屋には『鉄腕アトム』の人形が置いてあるし、手には『キャプテン翼』のコミックを持っていて、コミックのなかに出てくるセリフを解読して『ボールは友だち。怖くないよ』って言うんですよね。シリアスな展開でちょっとコミカルな描写が入ってくると、クスッと笑えて個人的に好きなんです。それにタイムやサイラたちが住む異世界に現実世界の物が入ってくると、それだけでウーパナンタに対する共感が増すのでいいなと思いました」
イソガイ「親近感が湧きますよね」
阿部「そうなんですよ!サイラを見ながら、GAPの服着てる~!って思ったし、そういうところもおもしろくて好きでした(笑)」
イソガイ「サイラがiPadみたいなものを持っていたのに気づきました?」
神武「持っていましたね」
阿部「確かに」
イソガイ「本作の山本晃久プロデューサーにも取材したのですが、サイラは『キャプテン翼』などのコミックから現実世界の情報を収集して記録しているらしいんですよ」
阿部「そうなんですね。おもしろい!」
神武「僕が印象に残っているのは、ナギがお母さんの部屋で床のカーペットを引っ剝がすシーンです。パッとめくると、そこにウーパナンタの歴史が一つになった曼荼羅のような絵があって、ナギやソンも描かれていた。それを見たナギが、自分の絵を指で触ったと思うんですけど、僕はその時に、『来た~!』って興奮したんです。ナギのお母さんは時空を超えて、10年後の娘をそうとは知らずに描いたわけですよね。あのシーンでその絵と現代のナギがつながったので、グッときました。ナギと知らずに描いていたのか、知っていてそれが別れ際のひと言につながったのか、いろいろ考えさせられました」
イソガイ「神武さんの話と関係すると思うのですが、『誰かが想像した世界というのが実はすでに存在していて、それが創造主のもとに降りてくる』という本作の設定や考え方についてはどう思われましたか?」
神武「個人的にはそのあたりのドラマをもっと本編で描いて欲しかったのですが、テーマはすごくいいと思います。一つの世界のなかで、みんながそれぞれの役割を担っているってことなんですかね?そういう設定はすごく好きです」
阿部「“(その世界を作った)創造主を殺しに行けば、(創造主が破壊しようとしている)自分の世界が救われる”みたいな考え方も斬新だなと思って。『なるほどな~』という納得感もありました」