「ワンダーハッチ」を映画のプロたちが総括!「日本が手を出し難かった壮大なファンタジーへの挑戦」
「あまりアクションのイメージがなかった森田さんが、新田さんと互角に戦っているのもスゴい」(阿部)
イソガイ「タイムやアクタたちが暮らしていた異世界(=ウーパナンタ)の世界観についてはどう思われましたか?」
神武「個人的にはあまり宇宙とか出してほしくなかった(笑)。どこかの宇宙とか惑星ではなく、そういう世界が別次元としてある方がファンタジーっぽくていいじゃないですか(笑)」
イソガイ「異空間という次元を描くものが観たかったということですね」
神武「あと、ウーパナンタの世界をもっと見たかったですよね。ドラゴンで空を飛んでいるシーンだけではなく、そこで生きる人々の暮らしも知りたかったです」
阿部「確かにウーパナンタでは、ドラゴン乗りたちが戦っているところしか見せてもらえてないですからね。もう少し、日々の営みが描かれていた方が、彼らの世界のことがもっと理解できたかもしれません」
イソガイ「阿部さんは、子どものころから知っている猿島が浮いた時はどう思われました?」
阿部「『あっ、猿島がこんなことになっちゃうんだ!?』って普通に笑っちゃいましたね(笑)。ただ猿島は無人島なので、アクタが理想郷を作るのにピッタリだと思いました。日本列島が浮いちゃうとやり過ぎになりそうですが、あの島だけ浮くのが逆にリアルで。また、ピュトンピュトの上で繰り広げられるアクタとスペースのバトルもすごい迫力でした」
神武「あのソードアクションはカッコよかったですね」
阿部「めちゃめちゃ見応えがありました。新田さんは『ONE PIECE』のアクションが話題になったばかりですけど、海外の最前線でアクションをされている人と、あまりアクションのイメージがなかった森田さんが、いまの年齢で互角に戦っているのもスゴくて。ご本人がイベントでもおっしゃっていましたが、森田さんの頑張りがとても感じられるシーンでもありますよね」
「日本人にしか撮れない、日本的な題材でも見せ方によって世界中の人たちにウケる作品を作ることができる」(イソガイ)
イソガイ「それでは最後に、続編があるとしたら『ワンダーハッチ』に期待することをそれぞれ語っていただけますか?」
阿部「ナギやソンたちもウーパナンタに行くんだろうなと思っていたので、続編ではそういう展開にしていただいてアニメでのナギやソンたちの活躍が見たいです」
神武「前日譚もあればおもしろそうですよね。ピュトンピュト(ウーパナンタの人々に神として崇められる浮島)がウーパナンタにやってくる前の話とか。あと、最終話のラストカットが意味深で。海に剣のようなものが刺さっていましたよね?あれがなんだったんだろうというのもあるので、続きも作ってほしいです」
イソガイ「萩原監督によると、もともとあった設定が尺の関係でカットされて、描ききれていないところもあるみたいです。スペースがコンビニで働いていた経緯も謎ですよね(笑)」
神武「たまたま飛ばされた先がコンビニだったということなんですかね?スペースに替わってウーパナンタにはお菓子が降ってきたし、スペースが入ったシャボン玉に『Smily 24』というコンビニの名前もチラッと映っていましたよね」
阿部「えっ、覚えてないです!」
神武「だから、映った場所に飛ばされるのかな?と思ったんです。タイムやサイラがなぜナギの部屋に現れたのかについても理由がありそうなので、そのあたりの法則が知りたいですね。それと、ナギのお母さんがドラゴンの絵を描いている時に『ワンダー』と言ったはずなのですが、『ワンダー』はドラゴンを指しているのか?そういう本編で明かされなかったところがいっぱいあるので、公式ホームページに簡単な用語集をアップしてもらえるとうれしいです(笑)」
イソガイ「最後に、ディズニープラスの『スター』に今後期待することも教えてもらえますか」
阿部「私は全編アニメの作品も作ってもらいたいですね。『ガンニバル』のアニメ版じゃないけど、地上波では放送できないような作品をアニメでも見せてもらいたいです」
神武「僕も残酷なものやエロじゃなくていいんですけど、地上波では作ることのできない、刺激の強い、容赦のないものが観たいですね。それが配信の魅力だと思いますから」
イソガイ「とにかく、観たことがないものを観たいですね。日本人にしか撮れない、日本的な題材でもアレンジの仕方や見せ方によって世界中の人たちにウケる、おもしろい作品を作ることができると思いますから」
阿部「そうですね!」
神武「日本にもいい監督はいっぱいいますからね。『スター』が、商業的なことやコンプライアンスを考えてなかなか思うようなものが作れない映像クリエイターたちが思いっきり撮れる場になったらいいなと思います」
取材・文/イソガイマサト
※山崎賢人の「崎」は「たつさき」が正式表記