玉木宏が語る『ゴールデンカムイ』鶴見篤四郎は「狂っていても部下がついてくる、カリスマ性のある男」

インタビュー

玉木宏が語る『ゴールデンカムイ』鶴見篤四郎は「狂っていても部下がついてくる、カリスマ性のある男」

「そもそも『鶴見の脳汁ってなんだろう?』と(笑)」

原作から抜け出したような鶴見を作り上げるにあたり、久保茂昭監督、各部署のスタッフの「熱烈な鶴見愛」をひしひしと感じたとも。「皆さん、鶴見のことが大好きなんです(笑)。特に久保監督は鶴見の衣装合わせの時はすごくテンションが上がっていて、鶴見への愛情が深い方なのだとうれしくなりました。演出面では細かいことは特に言われませんでしたが、撮影前に“鶴見ノート”をいただいて。鶴見について原作からいろいろな部分を抜粋したものがびっしり書き込まれているもので、演じるうえでヒントになることがたくさんありました。最初から監督と僕の、鶴見の方向性が一致していたのもありがたかったです」。

 監督やスタッフ陣の“鶴見愛”をひしひしと感じたという
監督やスタッフ陣の“鶴見愛”をひしひしと感じたという撮影/興梠真穂

鶴見のメイクテストは3回に及び、鶴見の象徴でもある“額あて”の質感はギリギリまで微調整が続いたという。その中には玉木からの提案やリクエストも盛り込まれた。「撮影ではよくあることですが、額あてがあまりにもツルツルしたものだと、そこにいろんなものが反射して映り込んでしまいます。だからできるだけマットなものにしてはどうでしょう?という提案はさせていただきました。あとは真冬の北海道で撮影をするので、熱を全部吸収してしまう素材だと、僕のおでこが凍ってしまうかもしれない(笑)。凍傷になったり、くっついて取れなくなったら困るので、隙間にスポンジのようなものを1枚かませてもらいました。鶴見は目をカッ!と見開く芝居も多いので、当初より目の可動域も広げてもらい助かりました。本当にたくさんのスタッフが、愛情をもって細やかに鶴見を作っていってくださいました」。

 鶴見のトレードマークでもある“額あて”には試行錯誤の歴史が
鶴見のトレードマークでもある“額あて”には試行錯誤の歴史が[c]野田サトル/集英社 [c]2024 映画「ゴールデンカムイ」製作委員

原作ではお約束の鶴見の“脳汁”も、スタッフ間で試行錯誤が繰り返された。「CGの脳汁もありますが、実際に後ろから管を通して液を垂らしているシーンもあります。タイミングがなかなか合わなかったり、僕も特殊メイクをしているので垂れてくる感覚がつかめなかったりして、演じるのがすごく難しかったです。そもそも皆で『鶴見の脳汁ってなんだろう?』と話し合ったり(笑)。誰も見たことがないですから」。


 「日本の馬はよく調教されていて賢いので、それほど大変ではありませんでした」
「日本の馬はよく調教されていて賢いので、それほど大変ではありませんでした」撮影/興梠真穂

その狂気や常軌を逸した言動が注目されがちな鶴見だが、クライマックスではまさに鶴見の本領発揮!杉元を執念で追い詰める大がかりなアクションもしっかり用意されている。玉木自身の豊かな乗馬経験が功を奏し、雪で凍った危険な道での馬を使ったアクションも無事ケガなく終えることができた。「馬に乗ってのアクションは30代を超えたころから一気に増えて、随分鍛えられました。馬は本来臆病な生き物だと思うので、乗る時はちゃんと目を合わせて心を通わせるようにしています。ただ日本の馬はよく調教されていて賢いので、今回もそれほど大変ではありませんでした。後半の落馬→猛ダッシュ→銃を構える一連の動きは、できるだけ原作のスパイスを入れ込んだつもりです。銃を構える時に小指を立てるところも原作を意識しました」と、こともなげに語る玉木だが、原作ファンが歓喜しそうな完コピぶりは随所に散りばめられている。夢に出てきそうなあの名台詞「ろうそく、ボリボリしちゃおうか?」の恐るべき再現度は、是非劇場で確認してほしい!

※山崎賢人の「崎」は「たつさき」、アシリパの「リ」は小文字が正式表記。

取材・文/遠藤薫

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