「セサミ・ストリート」だけじゃない!オスカー受賞作など老舗パペットスタジオ、ジム・ヘンソン・クリーチャーショップの意外なお仕事
怖かわいい『フナフ』のアニマトロニクス人形たち
そんなジム・ヘンソン・クリーチャーショップが関わっている最新作が『ファイブ・ナイツ・アット・フレディーズ』だ。1980年代、機械仕掛けのマスコットキャラクターで人気を博したレストラン「フレディ・ファズベアーズ・ピザ」は、過去に子ども失踪事件が相次ぎ、いまでは廃墟となっていた。そんないわくつきスポットの夜間警備を引き受けた青年マイク(ジョシュ・ハッチャーソン)は、数々の不可解な現象に襲われることに…。
不気味なマスコットに襲われないよう身を守るというホラーゲームを原作とする本作は、“怖かわいい”4体のマスコットの造形や動きが恐怖の要。蝶ネクタイがトレードマークのフレディ、ギターを奏でるボニー、コンビで仲良しのチカ&Mr.カップケーキ、骨格剥き出しのボディがチャームポイントのフォクシーと、それぞれ異なる個性を持つ2m超のキャラクターたちは、CGではなくアニマトロニクスで実際に作られている。
「アニマトロニクス制作を手掛けた映画やテレビで育ったから感慨深かった。彼らが生みだすキャラクターには魂が宿っているように見えて、とにかく素晴らしいと思う」と語る監督のエマ・タミをはじめ、製作陣の満場一致でジム・ヘンソン・クリーチャーショップにアニマトロニクス制作を依頼。その期待に応え、あるチームはパーツ制作、別のチームは縫い合わせ作業、とすべて手作業で行い、細部を表現するための緻密なデザインのものまで複数のバージョンを用意。見事な職人技で、すでに人気を確立していたキャラクターの魅力を損なうことなく実体化してみせた。
またフレディ、ボニー、チカは、中に役者が入り、パペット操者との協力で演技をしているが、体の内部が丸見えな構造のフォクシーだけは顔、頭、体、腕、足を別々の人間が操作。1体になんと6人のスタッフが必要だったというから驚きだ。
撮影中もゲーム原作者のスコット・カートンが定期的に現場を訪れてはアドバイスするなど、アニマトロニクスがゲームの世界観と一致しているかを綿密に確認しており、その立ち姿から動きまで抜群の恐怖もゲームさながらとなっている。老舗スタジオによる熟練の技にスポットが当てられた本作の公開を機に、今回紹介したほかの作品もチェックして、ジム・ヘンソン・クリーチャーショップの見事な仕事ぶりを堪能してみてはいかがだろうか?
文/サンクレイオ翼