人気子役から実力派俳優へ!初のロマンス映画『同感〜時が交差する初恋〜』でヨ・ジングが見せた等身大の演技|最新の映画ニュースならMOVIE WALKER PRESS
人気子役から実力派俳優へ!初のロマンス映画『同感〜時が交差する初恋〜』でヨ・ジングが見せた等身大の演技

コラム

人気子役から実力派俳優へ!初のロマンス映画『同感〜時が交差する初恋〜』でヨ・ジングが見せた等身大の演技

幼い日、自分もテレビに出る人になりたいと母にねだってオーディションを受けたのが、“俳優”ヨ・ジング誕生のきっかけだった。願いを叶えた少年は2005年、映画『Sad Movie サッド・ムービー』で病に侵された母と悲しい別れをすることになる息子役に選ばれてデビューを飾る。クリクリした大きな目を持つ8歳の愛らしい少年の素直な演技は多くの観客の涙を誘った。それから約20 年、子役から大人の俳優へと順調に成長を遂げてきた彼が『同感〜時が交差する初恋〜』で5年ぶりに映画に主演。1999年の恋する大学生キム・ヨンを爽やかに演じた。意外なようだが、ラブロマンスへの出演は映画では初。ここで、どんな作品が今のヨ・ジングをつくったのかを見てみようと思う。

【写真を見る】『同感〜時が交差する初恋〜』の舞台となる90年代を経験したことのない人に「ロマンを与えたかったと語る」ヨ・ジング
【写真を見る】『同感〜時が交差する初恋〜』の舞台となる90年代を経験したことのない人に「ロマンを与えたかったと語る」ヨ・ジング[c]2022 GOGOSTUDIO INC. ALL RIGHTS RESERVED

視聴者や共演した俳優たちも魅了した子役時代

多くの子役同様に、ヨ・ジングも最初は主人公の少年期を演じてキャリアを重ねた。2008年の『霜花店 運命、その愛』ではチョ・インソンの、同年の『アンティーク 〜西洋骨董洋菓子店〜』ではチュ・ジフンの子役として出演し、ドラマでも数々のスターの少年時代を演じている。そのなかでも目立つのは時代劇だ。「イルジメ[一枝梅]」(08)ではイ・ジュンギ、「幻の王女チャミョンゴ」(09)ではチョン・ギョンホ、「ペク・ドンス」(11)ではチ・チャンウクと、次々に主演俳優の子役として起用されているのを見れば、彼がいかに信頼されていたかがわかる。

2011年の「根の深い木—世宗大王の誓い—」には、主演の1人であるカン・チェユン役のチャン・ヒョクたっての希望で出演。彼の言葉によれば「ヨ・ジング君は(2008年の「タチャ〜いかさま師」で)僕の子役を演じたことがあり、彼でなければ安心できないという気さえしていた」そうだが、その頃すでに変声期を迎えていたため、幼少期を演じるには無理があったという。そこで序盤は彼より幼い子役が務めたものの、その後成長したチェユンが山中で戦うシーンでほんのわずか顔を出し、驚くほど短い場面ながら強い印象を残した。

子役俳優は出番が短いなかで序盤のドラマを引っ張らなければならず、その責任はとても大きい。常に期待に応えてきたヨ・ジングの評価をいちだんと高めたのが、若き王役のキム・スヒョンの少年期にあたる世子(せじゃ)を演じた2012年の「太陽を抱く月」だった。「イルジメ[一枝梅]」以来4年ぶりにキム・ユジョンと共演し、初々しく切ない恋を演じて評判を呼んだ。妃候補となった娘と微笑ましい恋を育むものの、謀略によって引き離されてしまった世子が、大粒の涙をこぼしながらヒロインの名を叫ぶシーンは忘れられない名場面。「あのように感情を強く表現するシーンは本当に大変なんですが、ただ台本を読むだけで十分悲しい気持ちになって役に入り込めました」というヨ・ジングの言葉を聞いて、集中力の高い演技の秘訣を理解できた気がした。

子役2人の演技があまりに見事だったため「このままヨ・ジングとキム・ユジョンを見ていたい。大人の俳優に変わってほしくない」といった声が多く聞かれた。あとを受けて登場したキム・スヒョンは、エネルギッシュな世子にプレッシャーを感じた一方、そのぶん刺激を受けて助けられたこともあったそうだ。ヨ・ジングとは長編ドラマ「ジャイアント」(10)で共に子役として兄弟役を務めた仲。同じキャラクターを演じることになった彼らは、子供時代と成長後の違いを際立たせようと2人でいろいろと話し合ったという。

キム・ユンソクらと共演した『ファイ 悪魔に育てられた少年』
キム・ユンソクらと共演した『ファイ 悪魔に育てられた少年』[c]2013 SHOWBOX/MEDIAPLEX AND NOW FILM ALL RIGHTS RESERVED.

こうして、子役として頂点を極めたヨ・ジングは、次の「会いたい」(12)でパク・ユチョンの少年時代を演じたのを最後に大人の俳優へとシフト。続いて、映画『ファイ 悪魔に育てられた少年』(13)で大きな転機を迎えた。彼が演じたのは、父親代わりの5人の凶悪犯から、あらゆる犯罪の技術を教え込まれて育った17歳のファイ。自分が彼らに誘拐されたことも知らず、男たちの犯罪の手助けをする日々のなかで、知り合った女子高生に淡い恋心を抱く。学校に通っていないファイが制服を着て歩く姿がなんとも痛々しい。想像を絶する悲惨な境遇にありながら、彼の純真さは失われていない。ヨ・ジングのピュアな持ち味が生きて、最終的にファイが内なる悪魔を解き放つ瞬間が効果的に映し出されている。過激で特異なキャラクターを演じ切った彼は、第34回青龍映画賞新人男優賞をはじめとする各賞を総なめにした。



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