戦国の世のサバイバルゲームが、ついに開幕!真田広之「SHOGUN 将軍」初回&第2話をネタバレありでレビュー

コラム

戦国の世のサバイバルゲームが、ついに開幕!真田広之「SHOGUN 将軍」初回&第2話をネタバレありでレビュー

『トップガン マーヴェリック』の原案者が製作総指揮、いまや世界的俳優となった真田広之がプロデュース、主演を務めるディズニープラスSTARのオリジナル・ドラマシリーズ「SHOGUN 将軍」が、本日より配信開始となった。

本作は、1980年にアメリカで実写ドラマ化され、驚異的な視聴率をたたきだしたジェームズ・クラベルによるベストセラー小説「SHOGUN」を、ハリウッドの製作陣の手で新たにドラマ化。徳川家康、三浦按針、細川ガラシャら、歴史上の人物にインスパイアされた「関ヶ原の戦い」前夜を舞台に、陰謀と策略が渦巻く戦国の時代を、壮大かつ圧倒的な映像で描きだすスペクタクル・ドラマシリーズとなっている。

MOVIE WALKER PRESSでは、本作の魅力を発信する特集企画を展開。本稿では、一挙配信となった第1話と第2話を、ライターの有馬楽がレビューする。

※以降、ストーリーの核心に触れる記述を含みます。未見の方はご注意ください。

絶体絶命から始まる、虎長と按針の物語

ジェームズ・クラベルの小説「将軍」の再映像化――これは歴史好きには嬉しい。1600年の関ヶ原の戦いという戦国クライマックスに至る道のりを、イギリス人漂流者の目から描いたストーリー。自由な精神を持つ西欧人をこの時代に放り込むことで、武家社会の現実もまた違った角度から切り取られるだろう。そんな楽しみを抱きながら、第1話に向かった。

三浦按針にインスパイアされたキャラクターであるジョン・ブラックソーン(コズモ・ジャーヴィス)
三浦按針にインスパイアされたキャラクターであるジョン・ブラックソーン(コズモ・ジャーヴィス)[c] 2024 Disney and its related entities

時は1600年、難破したオランダ船が熱海沖に漂着。生存者の1人である英国人の舵手ジョン・ブラックソーン(コズモ・ジャーヴィス)は網代の領主によって捕らえられる。なにしろ、相手は言語の通じない日本人だ。西欧では礼儀であったことも、日本の武家社会では通用しないし、むしろ別種の礼儀を押し付けられる。『猿の惑星』のチャールトン・ヘストン(68)のように、どうすることもできずに自由を奪われ、痛めつけられるブラックソーン。彼もそうだし、一方の日本のサムライたちも、おたがいを“蛮人”と思っている。

捕らわれの身となっているのは、彼だけではない。大坂城では、もう1人の主人公、吉井虎永(真田)が軟禁状態に置かれていた。太閤亡きあとに国を治める五大老の1人だが、政略結婚で勢力の拡大を図ったと、石堂和成(平岳大)らほかの4人の大老に因縁をつけられ、裁定を待つ身。こちらもブラックソーンと同様に、明日をも知れぬ不確かな運命に置かれている。歴史に詳しい方なら、ピンとくるだろう。吉井虎永のモデルは徳川家康、石堂和成は石田三成。もちろん、太閤とは豊臣秀吉のことだ。

また、ブラックソーンは、ドラマの中で後に按針(航海士)という名で呼ばれるようになるが、家康に仕えたウィリアム・アダムス、すなわち三浦按針をモデルにしている。ブラックソーンの目的は、カトリック教徒に占有されている世界の航路を、プロテスタントの手で切り開くことだった。ところが、当時の日本にいる外国人といえば、カトリックの布教に当たるポルトガル人の宣教師ばかり。西欧で宗教戦争が吹き荒れているなか、彼らにとって、プロテスタントは異端であり、”敵”なのだ。この設定がまた、話をおもしろくする。


窮地に立たされた五大老の1人、吉井虎長(真田広之)
窮地に立たされた五大老の1人、吉井虎長(真田広之)[c] 2024 Disney and its related entities

虎永とブラックソーンという、逆境の2人が運命に導かれて出会うまでが、この第1話のストーリー。その過程で、ブラックソーンを拘束した伊豆の領主で、虎永の配下、樫木藪重(浅野忠信)が絡んでくる。“死に魅せられている”というこの武将も、またいい味を出している。彼は言う“先の読めぬこの時世に、次はなにが起こる?”――太閤亡きあとの世はもはや太平ではなく、未来には戦の気配しかない。そんな時代を生きる者たちのサバイバルストーリーであることを、この第1話は宣言しているかのようだ。

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