若葉竜也×伊勢谷友介×山下リオ×ジン・デヨンが惹き込まれた映画『ペナルティループ』とそれぞれの魅力
「劇中での岩森と溝口の関係性の変化にシンクロしていく感じ」(伊勢谷)
――御三方にはどのような印象を持っていましたか?
デヨン「本格的に日本の映画やドラマを観始めたのは5年くらい前から。いまでは1日平均5時間くらいは観ています。そのなかに出ている人たちだから、皆さんは憧れの存在です。私にとって日本(の作品)は夢の世界。だから出演が決まってからは『本当に明日会えるのかな?』『眠れるかな?』という毎日を過ごしました。第一印象は緊張しすぎて覚えていません。読み合わせの時に初めて会ったのですが、プロデューサーさんに『救急車を呼んでください!』ってお願いしたくらい(笑)」
――伊勢谷さんは若葉さんが出るならおもしろそうと思ったとのことですが、伊勢谷さんから見た若葉さんはどんな俳優ですか?
伊勢谷「役者として多くの人が持っているプライドのようなものがまったくない人という印象です。僕自身、シーンを作っていく時にいらないプライドが渦巻いているのを気持ち悪く感じるタイプだから、それがない人とやるのは本当におもしろくて。『伊勢谷さん、ちょっとここどうしたらいいですかね、僕』みたいに普通に訊いてくるんです。すごく珍しいことだから『なんだコイツ』と思うと同時に『おもしれー!』ってなって。劇中での岩森と溝口の関係性の変化にシンクロしていく感じが僕の感情にもあって、余計に楽しくなっていったし、リスペクトにもつながりました。こういう感情を抱ける稀有な存在です。とにかくおもしろい!」
若葉「伊勢谷さんには、隙がない完璧主義者という印象を勝手に抱いていました。でも、現場に来た伊勢谷さんは全然そんなことはなくて…」
伊勢谷「いや、完璧だったな、俺は!」
若葉「いやいや、小学6年生の男の子みたいでした(笑)。こんなに自由でいいんだなって思ったし、その自由さというのは日本映画、そして俳優には必要だと思っています。(考え方や言動が)スクエアな人たちが多くておもしろくないと思っていたので、やっぱりすてきだなって。山下さんは映画をやる前から知り合いでしたが、現場で緊張している姿に『愛らしい人だな』と思いました」
山下「ありがとうございます!」
若葉「僕、“なんにも怖くない”みたいな、現場に慣れすぎている人がちょっと苦手で」
伊勢谷「アハハハ!」
若葉「山下さんは非常に臆病で、決して器用でもない。そこがすごく好感度が高かったです。やっぱり一緒に作品をやってみないと分からないなって思いました。デヨンさんは穏やかで一つ一つ丁寧に確認し合いながらシーンを作ることができて。言葉が通じるというのも正直すごく大きかったです。デヨンさんの共有の仕方、本当はとっても優しい眼差しなどに救われた瞬間がたくさんありました」
伊勢谷「確かに。デヨンさんは日本が大好きなんだよね?」
デヨン「はい。日本の全部に憧れています。住まわせていただけて光栄です」