「デューン」映像化の歴史!“映像化不可能”に挑んできた映画人たちを振り返る

コラム

「デューン」映像化の歴史!“映像化不可能”に挑んできた映画人たちを振り返る

堅実な作りが評価され、続編も制作されたテレビドラマ版「デューン」

衛星、ケーブルテレビの時代に入ると、SF専門の放送局Sci-Fiチャンネル(Syfy)が、ミニシリーズ「デューン 砂の惑星」を2000年に放送。スケールはともかく、原作の主要エピソードを押さえた堅実な作りで評価され、続編「デューン 砂の惑星 II」(2003年放送)もリリースされた。ドラマ版をプロデュースしたリチャード・P・ルービンスタインは、その後映画化を模索。長年にわたって準備をした彼から権利を受け継いだのが、『パシフィック・リム』(13)や『GODZILLA ゴジラ』(14)以降のモンスター・ヴァースなどレジェンダリー・ピクチャーズで数々の超大作を手掛けてきたメアリー・ペアレントだった。「デューン」の映画化が夢だと公言していたヴィルヌーヴを監督に迎え、『DUNE/デューン 砂の惑星』(20)を製作。そして、いよいよ続編『デューン 砂の惑星PART2』も公開となった。

SF専門のチャンネルで放送されたミニシリーズ「デューン 砂の惑星」
SF専門のチャンネルで放送されたミニシリーズ「デューン 砂の惑星」[c]Everett Collection/AFLO


“砂の惑星”を映像化することにこだわったヴィルヌーヴ版「デューン」

これまでのリンチ版、ドラマ版に対し、初めて成功の烙印を押されたヴィルヌーヴ版。両者の一番の違いはデューンことアラキスの描写にある。原作は環境と人間の関わり、エコロジーを大きなテーマに掲げているが、リンチ版は自然より人工的で埋め尽くされたハルコンネンの惑星ジェディ・プライムにこだわった作り。ドラマ版は多彩な登場人物が織りなす群像劇に力点を置いていた。

サンドワームが暴れ回るスペクタクルもスケール感たっぷり(『デューン 砂の惑星PART2』)
サンドワームが暴れ回るスペクタクルもスケール感たっぷり(『デューン 砂の惑星PART2』)[c] 2024 Legendary and Warner Bros. Ent. All Rights Reserved IMAX[R] is a registered trademark of IMAX Corporation. Dolby Cinema is a registered trademark of Dolby Laboratories.

その点、ヴィルヌーヴは前作で自然の過酷さ、雄大さ、美しさをこれでもかと描写。それを踏まえて『PART2』では、砂虫=サンドワームのスペクタクルなどスケール感ある見せ場を次から次に展開する。視覚効果もミニチュアを多用するなど、デジタルに頼りすぎないオーガニックなテイストで統一された。砂の惑星を体感させる、理想的な形で映像化された本作の壮大な世界をスクリーンで味わってほしい。

文/神武団四郎

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