解決しない謎が興味をそそる…『ゾディアック』『殺人の追憶』『12日の殺人』など良作ぞろいの“未解決事件”を基にした映画たち
女優志望の女性が切り裂かれ、殺害された迷宮入り事件が題材の『ブラック・ダリア』
戦後間もない1947年のロサンゼルスを背景にした“ブラック・ダリア事件”は、アメリカの犯罪史上最も有名な未解決事件の一つとして語り継がれている。体を腰の部分で切断され、顔などを切り裂かれた無残な姿で路上にうち捨てられていた被害者は、女優を志していた22歳の女性エリザベス・ショート。全米のマスコミが連日報じたこのセンセーショナルな猟奇事件は、ロス市警の大規模な捜査にもかかわらず迷宮入りとなった。ブライアン・デ・パルマ監督の『ブラック・ダリア』(06)は、ジェームズ・エルロイの同名小説の映画化。スカーレット・ヨハンソン、ヒラリー・スワンク、ミア・カーシュナーら演じる秘密を抱えた美女たちと、ジョシュ・ハートネット扮する主人公の若き刑事バッキー・ブライカートの人生が艶めかしく交錯するフィルムノワールだ。
犯人を逮捕するも、冤罪事件として支援活動が盛り上がる事態に発展した『デビルズ・ノット』
1993年、アーカンソー州ウェスト・メンフィスの森で、いずれも8歳の少年3人の遺体が発見された。残虐な手口から悪魔崇拝者の犯行を疑った警察は、地元の10代の若者3人を逮捕する。ところが事件の背景やずさんな捜査の実態を取材したドキュメンタリー映画『Paradise Lost』(96)が大反響を呼び、冤罪の疑いが浮上。ジョニー・デップやピーター・ジャクソン監督ら著名人が、被告3人の支援活動を行う事態に発展した。アトム・エゴヤン監督作品『デビルズ・ノット』(13)は、“ウェスト・メンフィス3”と呼ばれるこの怪事件の成り行きを、私立探偵(コリン・ファース)を主人公にして映画化した一作。真実の行方が“宙ぶらりん”のまま幕を閉じるエンディングが複雑な余韻を残す。
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未解決事件が題材の最新作『12日の殺人』
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