「リアルで現実的なロマンス」「せつないながらも前向きになれる」…共感する人続出の『パスト ライブス/再会』が描く人生の美しさ
もし数年後にまた本作を観たら何を思う…?
“24年の時を経ての再会”が語られる本作では、空白の“時間”が彼らに変化をもたらしたり、逆に変わってない部分があったり…と時の経過によるモノの見方や人生の変化といった普遍的な性質が描かれている。「そんな本作を数年前もしくは数年後に観た場合、現在と抱く感想は違うと思うか?」と質問を観客に投げかけてみた。
「おそらく、もっとそれぞれの登場人物に共感しながらも、自分の選択をより運命的なものとして肯定できている気がします」(20代・女性)
「結婚している、付き合っている人がいる、失恋したなどの経験をしてから観ると、よりキャラクターへの共感が強く感じられるのではないかと思います」(20代・女性)
「いまは20代なので、10年後には見え方が変わっていると思います。自分に愛する人ができて結婚をして、もしくは結婚をしないという選択をした後に観ると立場が変わると思うので、長くこの作品を愛していこうと思います」(20代・男性)
「自分がヘソンと同じ未婚なのもありますが、ひょっとして結婚したらアーサーの心理状態になるんじゃないでしょうか」(20代・男性)
若い世代からは上記のような、今後の経験によって感じることや感情移入するキャラクターが「変わると思う」という意見が数多く並んでいた。一方で人生経験豊富な世代からは
「20年前ならここまで理解はできなかったかも。何年も忘れられない恋があったからこその共感はあったと思います」(40代・女性)
「もっと若い頃に観ていたらラストシーンに納得していなかった気がします。歳も経験も重ねたいまだからあれでよかったと思えるし余韻を噛み締められるのだと思います」(50代・女性)
「自分の生活はもう落ち着いていて、このあと大きく変わることはないのではないかと思うが、もし独身の若い時に観ていたら違った感想を持ったかもしれない。ただいつでもアーサーに一番共感すると思う」(50代・女性)
など、数年前なら受け取り方は違ったかもしれないという条件付きで今後も作品への印象は「変わらないと思う」派が大多数。見事に真っ二つに割れる結果になったが、年代や経験によって思うことが大きく変わる作品だということは、本作がいかに丁寧に人生を描いているかを証明していると言えるだろう。