”あの頃”の恋心を思い出す『青春18×2 君へと続く道』『花束みたいな恋をした』『君の膵臓をたべたい』…大人も余韻に浸れる恋愛映画9選
15年の時を超え動き始める“初恋“『建築学概論』
アジアの作品も粒ぞろいだ。公開当時、本国で興行収入の記録を塗り替えるほどのヒットとなった韓国のラブストーリー『建築学概論』(12)。建築士のスンミン(オム・テウン)のもとに、15年ぶりに大学の初恋相手ソヨン(ハン・ガイン)が現れる。ソヨンは、スンミンに家の設計を依頼することで、過去に交わした儚い約束を果たそうとしていた。いつしか様々な事情を抱える大人となった2人が、純粋だったころの初心な恋愛を見つめる様がせつない。大学時代の場面では、ポケベルやCDプレーヤーなどの1990年代らしいアイテムが登場し、ノスタルジックな気分に浸れる。
マドンナに恋した男子高校生の青春を描く『あの頃、君を追いかけた』
山田裕貴と齋藤飛鳥の共演で日本でもリメイクされた『あの頃、君を追いかけた』(11)は、台湾の青春映画の代表格。気鋭の監督ギデンズ・コーによる自伝的物語である本作は、仲間といたずらばかりしている幼稚な男子高校生コートン(クー・チェンドン)が、自分のお目付け役となった優等生の美少女チアイー(ミシェル・チェン)に惹かれる甘酸っぱい恋愛を描く。いつもうまく自分の気持ちを伝えることできずモヤモヤするコートンと、なかなか心の声を言わず彼とすれ違っていくチアイー。クライマックスのある結婚式の場面では、大人になっても不器用なままのコートンが、自分なりに初恋にケリをつける様が、滑稽だがどうしようもなく愛おしい。
誰しも、振り返りたくなるような「恋心」を抱いたことがきっとあるはず。奥深いこれらの作品をぜひ堪能してみてほしい。
文/水越小夜子
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