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『好きでも嫌いなあまのじゃく』小野賢章&富田美憂が語り合う、演技へのアプローチ「キャラクターの第一印象を大事にします」

インタビュー

『好きでも嫌いなあまのじゃく』小野賢章&富田美憂が語り合う、演技へのアプローチ「キャラクターの第一印象を大事にします」

「収録の休憩中に、いまの若者はなにがトレンドなのか聞いていました(笑)」(小野)

――キャラクターそれぞれの印象をお聞きしてきたのですが、役にはどのようにアプローチされていったんでしょう?

小野「僕はどの作品でも第一印象を大事にします。オーディションの時にはちょっとしたセリフとキャラクターの設定資料が送られてくるのですが、それを見てオーディションテープを第一印象のままで録っています。それが役と合っていたらそのまま演じますし、現場で違うと言われたらそこから修正すればいいかなと考えています。なので、あんまり悩むこともないんですよね」

富田「私もほとんど同じですね。『この子からはこういう“音”が出るだろうな』という第一印象でいっちゃうことが多くて。どの作品もそうなんですけど、どうして自分をキャスティングしていただいたのかを考えた時に、ツムギの場合はきっと私の声質だろうという気持ちがあったので、作り込みすぎないようにしていました。多分、普段喋っているところも、ツムギと私は近い音でもあるかなと思うので。作品の雰囲気を踏襲しつつ、やりたいようにやらせていただいていたように思います」

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――監督から事前に「こういうふうに演じてほしい」といった演出はあったんでしょうか。

小野「今回はオファーしていただいたのもあって、イメージ通りだったのか、すんなりいった感じはありました」

富田「私もです」

小野「どちらかというと、どういうふうに演じるかよりは、世界観とキャラクターの説明に時間をかけてやっていましたね。あ、でも若い声は作っています(笑)」

富田「ははは!」

小野「今回に関してはそこだけは作り込んでやっています。20歳年下とかになってしまうのでがんばりました(笑)」

――年齢を重ねるにつれて10代を演じる時の作り方は変わってくるんですか?

小野「あまり変わらないかもしれないですね。いろんなものに対して敏感だったり、過剰に反応してしまったり意識してしまうところは、変わらないです。ただ、声の高さだけはキープできるように頑張っています(笑)。気持ちはなるべく若さを保っていたい、というのは普段からあるので。それこそ、収録の休憩中とかに、いまの若者はなにがトレンドなのか聞いていました(笑)。僕の学生時代と、富田ちゃんの学生時代の違いはなんなのか聞き出せたらいいなと思いながら、わりと質問攻めしていました。でもだいたい犬の話で盛り上がっていたね」

富田「私がワンちゃん飼っているので、その話ばかりしていましたね(笑)」

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ツムギの故郷である鬼が暮らす“隠の郷”でも事件が起きてしまうが…[c]コロリド・ツインエンジン Netflix世界独占配信&日本劇場公開中

「最近になって『人との距離こんなに近かったんだ!』とびっくりしています」(富田)

――大切な人に想いや気持ちを伝えることが作品全体のテーマではあるかと思うのですが、お二人は普段、気持ちを伝えるうえで大事にされていることはありますか?

富田「ちゃんと目を見ることです。あまり見ることができないタイプなんですけど、最近はがんばって見ています」

――目を見ると緊張する?

富田「そうですね。気恥ずかしいみたいな気持ちになるんですよね」

小野「僕は、これを言われてどう思うのかなというのを考えちゃいますね。でも、もともとそんなに話すタイプではないんですけど、コロナ禍に入ってから、より喋らなくなりまして(笑)。みんなで食事に行かなくなったので、喋らないとどんどん会話が下手になっているなというのを感じています」

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――いまはだいぶコロナ前の環境も戻ってきていますね。

小野「食事に行く機会も増えてきているので、そのまま楽しく会話していた感覚が取り戻せたらいいな、と思っている最中です(笑)」

富田「アフレコもコロナ禍になって、3人とか4人とか少人数で収録するようになったんですよね。最近は大人数でできるようにはなってきたんですけど、昔は隣の人とギチギチに詰めて座っていたのが、いまはそれもなくなって。できるだけ会話もせずに、距離を保ってお仕事しましょう、という形になっていたから、最近になって『人との距離こんなに近かったんだ!』とびっくりしています」

小野「よくこの距離で目合わせて喋っていたな、って」

富田「そうなんですよ、パーソナルスペースってなかったんだ(笑)」

「もう少し時間ができるようなったら、自分がやりたいものをやりたい」(小野)

2人が今後挑戦したいことまで語ってくれた
2人が今後挑戦したいことまで語ってくれた撮影/河内彩

――お仕事でいろんな役を演じるなかで、観てくださる方に気持ちを伝えるのが重要かと思うんですが、収録される時に気をつけてらっしゃることはありますか?

小野「このシーン、この一連の流れでなにを伝えたいのか、というところは気を遣っています。あとは、やっぱり会話なので自分のキャラクターが発したことによって相手が影響を受けるシーンは気を遣いますね。その相手の役を演じる役者さんのことも考えて。自分がドン、としっかり影響を与えるぐらい伝えないと向こうもやりづらいよな、って。相手のことはすごく考えています」

富田「ツムギも柊に自分の気持ちを説明しなきゃいけないシーンがあったので、観てくださっている方にもわかりやすいように説明しなきゃ、という想いはありつつ、そっちに集中しすぎると、当たり前のことなんですけど、気持ちがおろそかになってしまうんですよね。その両立の仕方はすごく考えました」

『好きでも嫌いなあまのじゃく』はNetflix世界独占配信&日本劇場公開中
『好きでも嫌いなあまのじゃく』はNetflix世界独占配信&日本劇場公開中[c]コロリド・ツインエンジン

――最後に、今後チャレンジしたいことを教えてください。

富田「デビューしたてのころは学生を演じる機会がすごく多くって。それを等身で演じられるのは若いころならではだと思いつつ、最近はメインキャラクターのなかでもちょっとお姉さん的なポジションとか、成人しているキャラクターをありがたいことに任せていただく機会が増えてきたんです。自分の声と芝居が年齢に追いついてきたじゃないですけど、芝居も少し大人になってきているのかな。もっと磨きをかけて、より幅を広げられたらなと思います。

小野「僕は役に関してだと、人以外のキャラクターとか(笑)」

富田「難しいですからね(笑)」

小野「あとはもう少し時間ができるようになったら、朗読とか、自分がやりたいものもやりたいですね。一昨年、西本願寺でやったんですけど、すごくいい経験だったので、またやれたらなと思っています」


取材・文/ふくだりょうこ

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