絵描き・石黒亜矢子がジャッキー・チェンを獣化!最新作『ライド・オン』に「ジャッキーファンとして感無量」
「イラストでも“龍”は大事なモチーフになっています」
――そんな形で久しぶりにジャッキー映画に触れてテンションが上がっているなかで、今作にちなんだイラストを制作していかがでしたか?
石黒「ジャッキーの顔を凛々しく描くか、いつもの百点満点の笑顔にするかでとても悩みました。今作はアクション映画だけど、コメディがあり、馬や娘との愛情もあるので、映画全体の雰囲気としてはそんなに凛々しい映画ではないので、やっぱり柔らかい笑顔がいいのかなと思いつつ、私とジャッキーのコラボなので私の得意分野である格好いいジャッキーにすべきか。大きな悩みでしたね」
――なるほど。確かにジャッキーと言えば、あの親しみやすい笑顔が特徴でもありますよね。
石黒「やっぱりジャッキーの絵というと、笑顔が多いんです。今回参考にしようと思って調べたところ、モンキー・パンチさんが描かれたジャッキーの顔はどれも可愛く、コミカルな感じで。『ルパン三世』の印象が強かったんですが、改めて見るとイラストレーションがとても上手な方で、しっかり描かれている。なので、モンキー・パンチさんの描くイラストのような明るさを目指したいと思っていました」
――そうした要素に加えて、石黒さんが得意な妖怪や動物などの世界観に仕上がっていますね。
石黒「今作では『馬」が重要な役割を果たしているので、馬を龍っぽく描いて飛んでいるようにして描きたいなと考えていました。馬は龍とつながりが深いですし、やっぱり、ジャッキーは漢字で書くと『成龍』なので、イラストでも龍は大事なモチーフになっています」
「万人が楽しめるカンフー映画を世に送り出して広めたのがジャッキー」
――ちなみに石黒さんはジャッキー・チェン映画と出会ったのは、いつぐらいでしょうか?
石黒「小学生の時にテレビで放送されていたものを観たのが最初だと思います。詳細には覚えていないんですが、兄が『ドランクモンキー 酔拳』や『スネーキーモンキー 蛇拳』でジャッキーにハマり、そこからテレビで放送されるとなると必ず観て、年に1回くらい映画館に映画を観に行くとなると兄の命令に従ってジャッキーの映画を観に行くという形で、そこからジャッキー漬けの生活が始まりました(笑)」
――1980年代のころは、ジャッキーの映画も公開本数が多くて、年に3、4本くらいやっていましたね。いわゆる二番館での上映もやっていて、テレビでも頻繁に放送されていたので、観る機会も多かったです。
石黒「そうですね。地元の映画館は常にジャッキーの映画がやっていた印象がありますね(笑)。新作の公開の時にはちょっと遠くの街にある大きな映画館に行ったりして、必ず見に行っていた印象があります」
――そんなふうに触れてきたジャッキー映画に、どのような魅力を感じていましたか?
石黒「私の夫は漫画家の伊藤潤二なんですが、年齢は夫のほうが10歳年上なんです。そして、伊藤は完全なるブルース・リーファンでして。カンフー映画の話をしていると『ジャッキーは武術としてのカンフーじゃないでしょ?』と小憎らしいことを言ってくるんですよ(笑)。でも、誰がなんと言おうと私はジャッキー派なんです。もちろんブルース・リーも大好きだし、最近だと『イップ・マン』シリーズも観ていますが、やっぱり私にとってジャッキー・チェンは別格です。カンフー映画を世界的に有名にしたのはブルース・リーかもしれないですが、万人が楽しめるカンフー映画を世に送り出して広めたのはジャッキーだと思うんです。そしてジャッキーの映画はお茶の間で観て、笑って、アクションも楽しめる。そこがすごくよかったんです。そういう明るい魅力がジャッキーにはあると思います」
■石黒亜矢子
1973年生まれ、絵本作家・絵描き。妖怪や創造生物、動物を描く。著書に「ばけねこぞろぞろ」(あかね書房)、「いもうとかいぎ」(ビリケン出版)、「どっせい!ねこまたずもう」「ねこまたごよみ」(ポプラ社)、「おろろんおろろん」(偕成社)、「おおきなねことちいさなねこ」「つちんこつっちゃん」(好学社)、「こねこのきょうだいかぞえうた」シリーズ(BL出版、文・石津ちひろ) などがある。京極夏彦と共に手掛けた「もののけdiary」(岩崎書店)も話題に。台湾の台北市にある「Mangasick」にて、6月10日(月)まで個展「貓面山海經」を開催。
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