愛娘がヌードも辞さず熱演！ダリオ・アルジェント監督『トラウマ』初Blu-rayは4Kレストア＆新録吹替の保存盤

“洋画劇場全盛期”クオリティの吹替版で、1990年代にタイムスリップ！

本Blu-rayの注目ポイントの一つは、なんといってもこれまで制作されていなかった日本語吹替版が初めて制作されたこと。オーラ役には「ゴールデンカムイ」のアシリパ役などで知られる白石晴香。デヴィッド役にはいまや実写作品でも大活躍の津田健次郎。この2人を筆頭に、アドリアナ役に高島雅羅、ジャド医師役に佐々木勝彦、グレイス役に日野由利加、ガブリエル少年役に種崎敦美と、大御所から実力派まで豪華な顔ぶれが集結。

しかも白石と佐々木、日野の3名は昨年秋から行われていた本作の吹替版制作クラウドファンディングプロジェクトのリターンの一つ「声優選択権」の結果をもとにキャスティングが実現。運営側が提示した声優候補のなかから「この人の声で吹替えが観たい！」という支援サポーターの希望が反映された、クラウドファンディングならではのユニークな手法であり、熱量の高いファンが求める理想的なキャスティングとなっている。

またこの初吹替版制作にあたって目指されたのが、“テレビの洋画劇場全盛期”のクオリティを現代で実現するということ。本作が作られた1993年、日本で公開された1994年はまだテレビの地上波で本作のようなホラー映画がインパクトたっぷりの吹替版で放送されていた時代。主人公のオーラを、ある人物が「彼女、プッツンなんじゃない？」と評するなど、使われるワードセンスや吹替版特有の抑揚の付け方まで、2024年に新たに収録されたとは思えない当時の雰囲気が漂っている。ぜひ、あの頃にタイムスリップしたような気分が味わってみてほしい。

そして映像特典には2021年に行われたアルジェント監督のインタビューをはじめ、撮影監督のラッファーレ・メルテスや作曲のピオ・ドナッジオらスタッフキャスト陣のインタビュー映像や、イタリア語版の劇場予告など初公開のものがぎっしり。その収録分数はなんと約176分！ほかにもジャッロ映画史家のアレクサンドラ・ヘラー＝ニコラスによる音声解説も初収録され、この傑作美少女ホラーを隅々まで味わうにはもってこいの充実度。

マニア必携の『トラウマ　鮮血の叫び -4Kレストア完全版-』は現在発売中。気になった方はコレクションに加えてほしい！

文/久保田 和馬