JIN除隊、デビュー11周年…ARMYライターが「BTS RETROSPECTIVE in Cinema 2024」で改めて感じたBTSメンバーの“尊さ”
現在映画館ではBTSのドキュメンタリー映画『BRING THE SOUL: THE MOVIE』(19)、『BREAK THE SILENCE:THE MOVIE』(20)、『BTS: Yet To Come in Cinemas』(23)の3作品が「BTS RETROSPECTIVE in Cinema 2024」 としてリバイバル上映されている。そんななか、BTSファン=ARMYにとって、2024年6月12日は忘れられない日となった。最年長メンバーであるJINが、ついに18ヶ月間の兵役を終えて帰ってきたのだ。この日は、兵役中の他のメンバーも休暇を取ってJINのもとへ集結。RMの高らかなサックス演奏をBGMに、久しぶりにメンバーたちがハグし合い笑顔を見せている様子を見ることができた。18ヶ月ぶりのJINの笑顔、RMの予想外のサックス演奏に主人公のJINを置いてけぼりにしてハグしあう弟メンバー達など…そこにあったのは、我々の知るいつもどおりのフリーダムなBTSだった。
そして6月13日にデビュー11周年を迎えたBTS。ARMY(BTSのファンネーム)である筆者はこの日、JINのハグ会…ではなく、映画館に足を運び『BRING THE SOUL: THE MOVIE』の応援上映会に参加してきた。JINが戻ってきて久しぶりに7人が集結した喜びと感動に包まれた状態で鑑賞した『BRING THE SOUL: THE MOVIE』は、さらに特別なものとなった。
『BRING THE SOUL: THE MOVIE』とは、2018年に行われた「BTS WORLD TOUR‘LOVE YOURSELF’」を振り返ったBTSのドキュメンタリー映画だ。2019年8月に劇場公開されると、世界112の国と地域で255万人以上を動員し大ヒットを記録した。ツアーの裏側や彼らのオフの様子までBTSの日常を赤裸々に映し出した、ARMYのための映画である。しかし、たとえBTSのことをよく知らなかったとしても、この作品を観れば7人がそれぞれどんなキャラクターなのか、BTSがなぜこんなにも世界的人気を誇っているのか、彼らの魅力を存分に知ることのできる内容となっている。
ヨーロッパツアー最終日、フランス・パリで7人がささやかな打ち上げパーティーを催すところから映画は始まる。楽しそうに会話をしている彼らを見ているだけで思わず泣きそうになった。「きっと来年(全員除隊後)にはまた、こんなふうに集まってワイワイ話している姿を見られるようになるんだろうな」と、考えただけで感極まってしまう。7人はパリでワインを飲みながら、それぞれツアーを振り返っていく。本稿では今作で感じたひとりひとりの魅力について、メンバーごとに改めて紹介していきたい。
入隊中の今だからこそ、メンバーたちの言葉が胸に刺さる
最年長のJINは、別のドキュメンタリー作品で「ARMYが僕たちの幸せや喜びを共有してくれるのと同じくらい、苦しみや悲しみも共感してくれると知ってからは、できるだけそういう場面を見せたくないと思っている」と話していたが、今作でも弱っている姿や悩んでいる姿を一切見せない。かわりに、ツアー移動中の機内でRJのぬいぐるみを大事そうに抱えながら眠るかわいすぎる姿や、海外の街行く人に「You know BTS?」と聞いてみたり、ツアーの合間に公園を散歩したりと平和なシーンが続く。ライブ終了後、楽屋でピザを食べ続けてなかなか帰ろうとしない年下メンバーたちに「早く帰ろうよ〜!」と呆れているシーンも、いつもの長男VS弟たちの構図で思わず笑ってしまった。また、「僕もソロでダンス曲をやってみたい」と話しているシーンがあるのだが、この数年後に発表されたJINのソロ曲「スーパーツナ」のことを思い浮かべたARMYも多いのではないだろうか。彼の希望が実現して良かった! しかしこんな平和でかわいらしい姿ばかり見せてくれる長男が、実は人一倍BTSを思い、ARMYを思い、支えてくれているのを我々は知っている。
JINとは対照的にリーダーのRMは、今どんなことを思っているのか、何に苦しんでいるのか、もちろん全てではないだろうが、楽曲の歌詞やSNSなどで赤裸々に明かしてくれる人だと思う。そんな対照的な2人が奇跡的なバランスを保ち大きな支柱でいてくれるからこそ、BTSは何年も愛されるグループとして成り立っているのではないだろうか。RMは、ツアーの移動中に“兵役中の友達”について話すシーンが印象的だった。「友達が彼女を置いて入隊することになったんだけど…」と話し始めるRM。「待つことしかできない人と、待たせることしかできない人。どちらのほうがつらいという問題ではない」と語る。そこからBTSとARMYの関係に繋げ、「だから僕はARMYに、待っていてくれてありがとうという気持ちを表現したい」と話すのだ。RMが今まさに入隊中だからこそ、公開当時よりも今のほうが、この言葉にとても胸を打たれた。また、ライブ中のMCでARMYに向かって「自分を愛するためにBTSを利用してください」と伝えるシーンは、涙なしでは見られなかった。ファンにこんな素敵な言葉を贈ってくれるグループ、最高すぎやしないか。
SUGAは相変わらず、ツアー中でも“いつでもどこでも音楽を作る人”で、惚れ直した。そんなどこまでもストイックな彼が、筋トレをしながら「マッチョになっちゃうよ。キャプテンコリア!」と茶目っ気たっぷりに言うシーンは微笑ましくて、そのギャップにやられる。ライブでミスをしてしまい落ち込むJUNG KOOKに「100点中102点だったよ?」と優しい言葉をかけたり、JUNG KOOKが怪我をしてしまった時は「すぐに病院行ったほうがいい」と心配したりと、メンバー想いな一面も。また、ソロ曲「Seesaw」のライブパフォーマンスを見たARMYの反応が良かったことを、メンバーたちにうれしそうに報告する姿が大変可愛らしかった。先日のソロツアーで披露してくれたアコースティックバージョンも最高だったが、いつかまた「Seesaw」のダンスパフォーマンスが見たい。
ダンスリーダーのJ-HOPEは、自分たちのライブ映像を真剣な表情で、誰よりも厳しくチェックし、公演中の体力調整をするようメンバーに注意したりと頼もしい姿が度々見られた。そんな彼が風邪をひいてしまい、リフレッシュのためにドイツ・ベルリンを散歩するシーンも印象的。「こうして外出するとRMやVが出かけたがる気持ちがよくわかる。こうやってメンバーの気持ちを知っていくんだ」と柔らかな表情でつぶやく姿に、メンバーを家族のように大切に思っている彼の心を感じとってまた泣きそうになってしまう。また、「街に出たらBTSのTシャツを着ている人たちがいてびっくりした」と嬉しそうにメンバーに報告する場面も。今となってはBTSグッズを着ている人なんて珍しくもないだろうが、当時の彼らにとっては衝撃だったのだと思うと、本当にここ数年で爆発的に世界中で人気になったんだなあ…と感慨深い。