デップーとウルヴァリンの因縁の原点はここに…!?いまこそ観直したい『ウルヴァリン:X-MEN ZERO』の激闘

コラム

デップーとウルヴァリンの因縁の原点はここに…!?いまこそ観直したい『ウルヴァリン:X-MEN ZERO』の激闘

究極のミュータントとして生みだされたウェポンXI

オリジナルのデッドプールは、がんで余命わずかなウェイドがウェポンX計画に志願して生まれ変わったミュータント。本作では、チームXに改造されたウェポンXI(イレブン)=デッドプールという設定になっている。チームXにはウルヴァリンや兄ビクターことセイバートゥース(リーヴ・シュレイバー)のほか多くのミュータントが所属しており、その予備軍&研究材料としてサイクロプスほか多くの若きミュータントが研究所に捕らえられていた。ストライカーは彼らの能力を併せ持った最強のハイブリッドを目指してウェポンXIを開発。そのベースとして白羽の矢が立ったのがウェイドだった。

ストライカー大佐によってウェポンXIに改造されてしまうデッドプール(『ウルヴァリン:X-MEN ZERO』)
ストライカー大佐によってウェポンXIに改造されてしまうデッドプール(『ウルヴァリン:X-MEN ZERO』)[c]Everett Collection/AFLO

ストライカーらはウェイドに、サイクロプスのオプティックブラストやケストレル(ウィル・アイ・アム)の瞬間移動、ウルヴァリンの再生力など多彩な能力を注入。まさに究極のミュータント兵器としてウェポンXIが誕生した。おもしろいのはその顔で、「黙っていれば完璧な戦士なのだがな」というストライカーの要望か、口元はがっちり縫合。声を発することすらできないが、ストライカーが端末から打ち込むコマンドどおりに動くため口は必要ないということだろう。アダマンチウムとの結合前の状態だったが、両手から日本刀が飛び出すという仕様もナイス。アドレナリン全開のウルヴァリンの拳から爪が伸びた次の瞬間、ウェポンXIの拳の先から日本刀が生えてくる粋な見せ場で盛り上げた。

ウルヴァリンはいかにしてアダマンチウムの骨格を得るに至ったのか?(『ウルヴァリン:X-MEN ZERO』)
ウルヴァリンはいかにしてアダマンチウムの骨格を得るに至ったのか?(『ウルヴァリン:X-MEN ZERO』)[c]Everett Collection/AFLO

ウルヴァリン、セイバートゥースを相手に圧倒

クライマックスではそんなウェポンXIとウルヴァリンの死闘がたっぷり描かれる。スピード、パワー、切り裂かれても秒で治る治癒力などウェポンXIは持てる能力をフル稼働。ウルヴァリンは手も足も出ない状態で、途中でセイバートゥースも参戦したが兄弟2人を翻弄するその強さは圧巻だ。口が縫いつけられている&そもそも作風がシリアスなのは残念だが、もしも“俺ちゃん”だったら…とくだらないセリフを勝手に想像しながら観るのも吉だろう。

ちなみに、改造途中で出動したウェポンXIは、赤いズボンを履いてはいたがコスチュームはなく上半身は裸のまま。スキンヘッドに傷だらけの顔という、素の状態でウルヴァリンに対峙する。こうなるとアクションもこなすレイノルズの本領発揮と思いきや、派手なアクションはアクション俳優スコット・アドキンスによるスタンドインだった。

『デッドプール2』のエンドクレジットでは…?


デッドプール&ウルヴァリン』で相棒として再び顔を合わせるデップーとウルヴァリン。ただし、本作はかつて死闘を繰り広げた2人の再演ではない。『ウルヴァリン:X-MEN ZERO』はオリジナルシリーズのスピンオフだが、「デッドプール」は『X-MEN:ファースト・ジェネレーション』(11)から始まった新シリーズの流れで両者は異なる世界に属しているのだ。また、『デッドプール2』(18)のエンドクレジットにはデップーがタイムマシンで黒歴史を消していくシーンがあり、彼自らがウルヴァリンと対峙した瞬間のウェポンXIを抹殺していたが、これはグリーン・ランタン役を受けようとしたライアン・レイノルズを暗殺したのと同様、メタなお遊びということだろう。

スクリーンで激しく火花を散らしたウェポンXIとウルヴァリンだが、実は演じたレイノルズとジャックマンは私生活では親友の間柄。共にニューヨークで暮らす彼らは『ウルヴァリン:X-MEN ZERO』での共演を機に親交を深め、SNSにツーショット写真をアップしたり取材で互いにいじり合う姿がメディアを賑わせてきた。ブロマンスとも呼ばれる彼らの関係性が『デッドプール&ウルヴァリン』でプラスに働くのは必至。

プライベートでも仲良しのライアン・レイノルズとヒュー・ジャックマン
プライベートでも仲良しのライアン・レイノルズとヒュー・ジャックマン[c]Everett Collection/AFLO

「デッドプール」シリーズで散々ウルヴァリンをネタにしてきたデップーが、本人を前にどういじるのかにも注目だ。15年ぶりの共演を前に、『ウルヴァリン:X-MEN ZERO』を予習作品の一つに加えてはいかがだろうか?

文/神武団四郎

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