パク・ソジュンやBTSのV、オスカー女優ユン・ヨジョンも登場!俳優の奮闘と美食を楽しむおすすめ韓国バラエティ
大ヒットドラマのスペシャル版「賢い山村生活」
「ソジンの家」シリーズを大ヒットへ導いたのは、“ナPD”ことプロデューサーのナ・ヨンソクの力量が大きい。彼の名を知らしめた「1泊2日」や、イ・ソジンがベテラン俳優の荷物持ちとなる「花よりおじいさん」、BTSも出演した「出張十五夜」など人気プログラムを続々生み出し、今年の百想芸術大賞TV部門ではTV部門男子芸能賞を獲得した韓国で最も有名なTVプロデューサーだ。
今でこそ人気者のナPDだが、かつて放送プロデューサーになるための試験は書類や時事問題、一般常識の段階ですべて不合格だったという。唯一、KBSでのみペーパー試験を通過。その後、企画案作成試験で出題されたテーマが「食」 というテーマだったそうだ。そこから見事面接まで通過し、彼はKBSに入社した。企画案を書く試験は元々得意だったらしいが、もしかすると「食」というテーマに縁があるのかもしれない。
そんな彼を象徴する人気番組のひとつが「三食ごはん」シリーズだ。俳優やタレントが郊外の山奥や漁村に行き、その地域に週三日、自給自足で暮らす。三食の食事は、その地域で採れる食材を自ら探したり採り、自分たちで料理することで賄う。畑を耕したり、鶏を育てて卵を産ませたりと、都会暮らしのスターたちにはなかなか骨の折れる日々だ。時にはナPDに交渉してお金を借りたり、シビアなゲームに挑戦させられて俳優たちが文句を言う姿も笑いのポイントだ。チャ・スンウォンのプロ顔負けな料理の腕前やユ・ヘジンのクセになるオヤジギャグなど、この番組をきっかけに新たなファンを増やした俳優も多い。
「三食ごはん」のスペシャル企画として、人気医療ドラマ「賢い医師生活」の主演キャストであるチョ・ジョンソク、ユ・ヨンソク、チョン・ギョンホ、キム・デミョン、チョン・ミドらが三食ハウスにやってくる「賢い山村生活」(U-NEXT、Huluほかで配信中)も話題となった。シーズン2の最終話の撮影からたった数時間後に制作が開始されたという本シリーズは、「三食ごはん」のルールに則り、食事を求めて“99ズ”(ソウル大医学部へ1999年に入学した登場人物たちの総称)が農作業や料理に奔走する姿は、ドラマの絆そのままに俳優の素顔も垣間見える贅沢な内容だ。さらに「賢い医師生活」の撮影ビハインドも明かされ、ファンにはたまらない企画になっている。
イ・ソジンがユン・ヨジョンと韓国料理を披露!人気バラエティシリーズ「ユン食堂」
そんなナPDのもうひとつの人気シリーズが、「ユン食堂」(U-NEXT、Huluほかで配信中)と「ユンステイ」だ。米アカデミー賞助演女優賞を獲得した経験を持つ大女優ユン・ヨジョン、イ・ソジン、チョン・ユミら人気俳優たちが、番組が決めた国に行き、プルコギやビビンパといった定番メニューを自ら料理するユン食堂を期間限定でオープンする。
「ユン食堂」は、アルバイトスタッフの面々も個性豊かだ。1962年デビューというベテラン俳優シン・グから、パク・ソジュンとチェ・ウシクといった「ソジンの家」のオリジナルメンバーもこのときから縁を結んでいた。「ユン食堂」はコロナ禍で海外渡航が不可能になると、韓国国内に在住する外国人に料理を振る舞う「ユンステイ」としてリニューアル。全羅南道・求礼にある伝統家屋韓屋に宿泊する様子は、パンデミックの中での新しい休暇の過ごし方「ホカンス」(ホテルでバカンスを楽しむこと)の流行にも乗り、注目される番組となった。
韓国の料理バラエティを見ていると、楽しいだけではなく気づかされることも多い。たとえば「ソジンの家」シーズン2を見ていると、韓国料理を現地の人々に食べてもらうためのローカライズと他文化へのリスペクトが感じられる。昨今需要が高まっているヴィーガンにも対応し、牛肉が入ることが多いコチュジャンをパプリカなどの野菜で作る工夫もされている。店内の装飾も、それぞれの国の代表的な動物であるトラと馬がセーターと韓服を着ているイラストや、アイスランドの特産品の羊毛で出来たコッシン(韓国の伝統靴)が飾られるなど、互いの違いを認めながら融合を示すアイテムがあふれているのも良い。何よりも、俳優たちがままならない状況で奮闘したり、ピンチだからこそ一致団結する姿に映画やドラマとはまた違った魅力が引き出されていて、これまで以上に好感が増す。お気に入りの俳優ができたら、新作と一緒にぜひバラエティ番組もチェックしてみてはいかがだろうか。
文/荒井 南