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ポン・ジュノ監督の次回作で共演!?韓国・ソウルで行われた役所広司×ソン・ガンホの『PERFECT DAYS』トークを現地からレポート

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ポン・ジュノ監督の次回作で共演!?韓国・ソウルで行われた役所広司×ソン・ガンホの『PERFECT DAYS』トークを現地からレポート

「『PERFECT DAYS』は私たちの本来の姿や人生の価値について立ち止まって考え直す映画」(ソン・ガンホ)

 昨年のカンヌ国際映画祭以来の再会を果たした役所広司とソン・ガンホ
昨年のカンヌ国際映画祭以来の再会を果たした役所広司とソン・ガンホ提供:シネキューブ

役所広司ソン・ガンホの共通点は、海外の監督と自国で撮った経験だ。役所は本作、ソン・ガンホはカンヌ国際映画祭最優秀男優賞を受賞した是枝裕和監督の『ベイビー・ブローカー』(22)。キム記者に撮影の感想を聞かれ、役所は「毎日毎日ヴィム・ヴェンダースの映画作りを学んでいるような撮影だった。監督はいつも現場で笑顔でユーモアもあって、映画作りってこんなに楽しいものなんだぞってことを教わった気がする」と答えると、ソン・ガンホも「まったく同じことを言うつもりだった」と、驚いていた。


互いの出演作についても語り合った。ソン・ガンホの出演作を10本以上観たという役所は、「なかでもショックだったのは『殺人の追憶』。作品もすばらしかったし、あのソンさんの田舎の刑事。両足で飛び蹴りした時には爆笑した。ソン・ガンホという俳優はやっぱり実在感があるというか、ユーモアからシリアスにいくその振れ幅の大きさが魅力的」と、絶賛した。

『殺人の追憶』のソン・ガンホの飛び蹴りに圧倒されたという役所
『殺人の追憶』のソン・ガンホの飛び蹴りに圧倒されたという役所[c] Everett Collection / AFLO

ソン・ガンホも役所広司の作品はたくさん観ているなかで、「毎作品、恍惚とするような名演技を見せてくれるので、一つの場面を選ぶのは難しいが、ポン・ジュノ監督とよく話すのは、『うなぎ』で妻を殺害して血まみれで自転車で警察に自首する場面、あの主人公の苦痛や哀れみなどの深さを表現できる俳優は全世界で役所広司だけだということ」と、語った。毎作品、名演と褒められた役所だが、本人は毎回「今度もダメだった」と思うそうだ。「自分がイメージした通りになかなかいかず、落ち込みもするが、次にやるとひょっとしたらうまくいくかもしれない、というのを繰り返して四十数年やって来れた気がする」と、謙虚な姿勢を見せた。

 「『PERFECT DAYS』は“ヴィム・ヴェンダース教室”のような撮影現場だった」と語る役所広司
「『PERFECT DAYS』は“ヴィム・ヴェンダース教室”のような撮影現場だった」と語る役所広司

最後にソン・ガンホは「『PERFECT DAYS』は私たちの本来の姿や人生の価値について立ち止まって考え直す映画。役所広司という俳優の偉大さを改めて感じる時間だった」と述べた。一方、役所は「ポン・ジュノ監督が細田守監督との対談で『役所広司を起用するなら、年老いた、漫画家のダメなアシスタントで、しょっちゅういじめられている役』とおっしゃったそうで、それが実現したら、おそらく漫画家の先生はソン・ガンホさんで、両足で飛び蹴りされている僕というのが頭に浮かんだ」と、観客を爆笑させたうえで、「日本と韓国は本当に近いので、もっと映画でいい交流ができたらいいなと心から思った」と、締めくくった。

取材・文/成川 彩


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