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目的は“人間界への移住(楽しそうだから)”、吹替えは関西弁…バットマン俳優が36年ぶりに演じる“ビートルジュース”とは何者だ?

コラム

目的は“人間界への移住(楽しそうだから)”、吹替えは関西弁…バットマン俳優が36年ぶりに演じる“ビートルジュース”とは何者だ?

死後の世界の問題児が蘇り、大騒動を巻き起こす!

ここからは、前作『ビートルジュース』の物語を振り返っていこう。新婚のメイトランド夫妻(アレック・ボールドウィン、ジーナ・デイヴィス)は、交通事故で命を落とし、幽霊となって家に帰ってくる。しかし家の外に出ることができない2人は屋根裏部屋で過ごすこととなり、やがて家にはニューヨークからディーツ一家が引っ越してくる。金に汚い彼らをなんとかして追いだそうと企てるメイトランド夫妻は、ひょんなことから人間を追い出すビートルジュース(マイケル・キートン)の存在を知り、死後の世界のケースワーカーの忠告を無視して彼を呼びだしてしまう。

言葉巧みに夫婦をたぶらかそうとするビートルジュース
言葉巧みに夫婦をたぶらかそうとするビートルジュース[c]Everett Collection/AFLO

メイトランド夫妻に呼びだされて墓のなかから蘇ったビートルジュースは、言葉巧みに夫妻をたらし込もうとするのだが、そのあまりの胡散臭さから夫妻に依頼を取り消されそうになってしまう。しかし時すでに遅し。蘇ったのをいいことに、勝手気ままにディーツ一家を脅かし、挙げ句の果てには一家の娘リディア(ウィノナ・ライダー)からの依頼しか受けないとヘソを曲げてしまう。そんなリディアに助けを求められた彼は、自身と結婚することを条件に持ちかけ、さらなる大騒動を巻き起こしていく。

ビートルジュースはリディアに結婚を迫るが…
ビートルジュースはリディアに結婚を迫るが…[c]Everett Collection/AFLO

どんなトラブルもこじらせてしまう超問題児であるビートルジュースだが、ほかの死後の世界のキャラクターと比べて、圧倒的な力を持っているのもポイントだ。一見ふざけているようにも見えるが、人間を思うがまま操ることができ、“人間怖がらせ屋“としては相当な実力。弱点はそのテキトーな性格と、「ビートルジュース」ともう一度3回呼ばれてしまうと、契約破棄となり元いた世界に戻されてしまうことだろう。

内面が見えてこない、奇想天外な行動こそビートルジュースの魅力
内面が見えてこない、奇想天外な行動こそビートルジュースの魅力[c]Everett Collection/AFLO

そして、この強烈なキャラクター性と反して、彼の内面がわかる描写が少ないのも特徴である。本名は“ビートルジュース(Beetlejuice)”ではなく、英語での発音がよく似ている“ベテルギウス(Betelgeuse)”であること、死後の世界のソーシャルワーカーのジュノ(シルヴィア・シドニー)の元助手であること、ペストが流行した時代を知っていて、『エクソシスト』(73)を167回観たということ以外、前作の劇中で彼のバックグラウンドについて掘り下げられることはない。内面がまったく見えてこないからこそ、ただただこざかしいのに、どうにも憎めない。確実に良いやつではないけれど、悪いやつと切り捨てることもできない。そんなキャラクター性がいまもなお人気を集めている理由の一つなのだろう。

全身ホッチキス女がビートルジュースの元妻!?
全身ホッチキス女がビートルジュースの元妻!?[c]2024 Warner Bros. Ent. All Rights Reserved

最新作『ビートルジュース ビートルジュース』では、何世紀にもわたり、死後の世界の倉庫に身体をバラバラに封じ込められていたビートルジュースの元妻、ドロレス(モニカ・ベルッチ)が登場する。ドロレスはビートルジュースに復讐したい因縁があるらしく執拗に探し回るが、一体どんな過去があるというのか…。

ティム・バートンの世界観は『ビートルジュース』から始まった!

不気味で不穏でダークな世界観ながら、ユニークな登場人物たちがどこか愛らしく、エンタテインメントとしての魅力が尽きないことが、いまではすっかり定着したバートン監督作品の最大の持ち味であろう。『ビートルジュース』はその原点とだけあって、作品全体を取り巻く雰囲気から衣装や美術、メイキャップ、さらにはクリーチャーの造形に至るまで、バートン作品の源流になったといえる描写がそこかしこに見受けられる。

ティム・バートンの原点がさらにパワーアップを遂げる『ビートルジュース ビートルジュース』
ティム・バートンの原点がさらにパワーアップを遂げる『ビートルジュース ビートルジュース』[c]2024 Warner Bros. Ent. All Rights Reserved

『チャーリーとチョコレート工場』を思わせる強烈なキャラクターやギミック、時代を経て蘇るプレイボーイというビートルジュースの特徴は『ダーク・シャドウ』(12)を連想させるし、なによりもクライマックスの降霊会のシーンで見られる死霊の花嫁姿は『ティム・バートンのコープス・ブライド』(05)を想起させるインパクト。屋根裏部屋の模型の墓標やストライプのジャケットからは、バートン監督が製作総指揮を務めたハロウィン映画の傑作『ナイトメアー・ビフォア・クリスマス』(93)を思い出さずにいられない。

『ビートルジュース ビートルジュース』は9月27日(金)より公開!
『ビートルジュース ビートルジュース』は9月27日(金)より公開![c]2024 Warner Bros. Ent. All Rights Reserved

そんなバートン監督ファンにはワクワクが止まらない“原点”を、36年の時を経てさらにパワーアップさせた最新作『ビートルジュース ビートルジュース』は、“原点回帰”であると同時にティム・バートンワールドの集大成となっていることだろう。8月23日(金)から全国10劇場のドルビーシネマでは、前作『ビートルジュース』が復活上映される。来たる最新作に備え、この機会に大スクリーンで“原点”に触れてみてはいかがだろうか!


文/久保田 和馬

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