怖い!痛い!鮮血!ホラーの伝説的タイトルを継ぐ鬼才、フェデ・アルバレスの歩み
拷問シーンの絵的なインパクトが大だった『蜘蛛の巣を払う女』
『ドラゴン・タトゥーの女』(11)に続くハリウッド版「ミレニアム」シリーズの第2弾『蜘蛛の巣を払う女』(18)もサスペンスで、ショック描写そのものは少ない。それでも緊張感を醸しだすアルバレスの画作りは健在で、天才的なハッカーである主人公リスベット(クレア・フォイ)と、生き別れたあとに宿敵として再会した妹(シルヴィア・フークス)とのバトルを盛り上げる。目の部分に赤いライトが灯るガスマスクを着けてのファイトシーンや、妹に捕まったリスベットかラテックスで密閉される拷問シーンの絵的なインパクトは大。
アルバレス好みのスプラッター描写に震撼する『悪魔のいけにえ -レザーフェイス・リターンズ-』
製作と脚本を兼任した『悪魔のいけにえ -レザーフェイス・リターンズ-』(22)にも触れておこう。チェーンソーを振るう殺人鬼レザーフェイスの暴走を描いた人気ホラーシリーズの一編で、現代の若者たちがそのターゲットとなる。新鋭デヴィッド・ブルー・ガルシアに監督を任せているが、バスの後部に追い込まれた人々が次々とチェーンソーの餌食になっていくスプラッター描写はアルバレス好みと言えよう。
アルバレスの剛腕演出が光る『エイリアン:ロムルス』
さて、注目の『エイリアン:ロムルス』。エイリアンに立ち向かうハメになるのは、入植惑星での過酷な労働から抜けだそうと宇宙船に乗り込んだ若者たちだ。人間の顔面に吸い付いて寄生するフェイスハガー、胸部を食い破って出現する幼体チェストバスター、インナーマウスや鋭い尾を備えた成体ゼノモーフ。成長の段階でそれぞれの凶暴性を発揮するエイリアンのインパクトは、これまでの「エイリアン」シリーズに勝るとも劣らない。アルバレスの剛腕演出に注目しつつ、ハラハラしてほしい。
文/相馬学
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