アインズ様、そして人間たちの生き様を堪能せよ!『劇場版 オーバーロード 聖王国編』は“IMAX推し”
エグい描写も見逃さず!主題歌はOxT、ラストのラストまでお見逃しなく
「オーバーロード」の独自性の一つとしてダークさがある。これはアインズが治めるアインズ・ウール・ゴウン魔導国が、一般的なファンタジー作品では敵側となるモンスターや亜人によっておもに構成されていることが大きい。本作で、アインズは個人として人間と共闘することになるが、本シリーズの魅力であるダークさは変わらず“エグい”描写も少なくない。
それは戦闘における流血描写などだけでなく、思わず目を背けたくなるような、精神的なきつさを感じさせるシチュエーションもある。亜人が人間の子どもを盾にして聖王国に迫ってくる場面などは、その代表的な例だろう。だが、こうした表現が単なる露悪にならないのが「オーバーロード」。そこで生まれる恐怖や矜持などの感情が一般市民などのモブキャラクターなどに至るまで丹念に描かれているのだ。
こうした細やかな機微の積み重ねも含めて「オーバーロード」のドラマは紡がれる。ぜひ画面の端々まで大きく見られ、細やかな音もクリアに聴けるIMAXで鑑賞し、それらを丁寧に表現するキャラクターのちょっとした表情やしぐさ、声色などを逃さないようにしたい。
さらなる展開を期待させる、意外な(しかしシリーズファンにとっては納得の)“ヒキ”で本編が締めくくられる本作。その後にエンドロールを飾るのは、これまでのシリーズ作品に多数の楽曲を提供してきたロックユニット、OxTによる「WHEELER-DEALER」だ。策士や策略家といった意味合いのこの楽曲は、これまで通りエッジの効いたハードさがありながら、間奏では一転して美しい旋律をじっくり聴かせるパートも。激しい戦闘シーンとその間で紡がれる人間ドラマという緩急のついた『劇場版「オーバーロード」聖王国編』にふさわしい主題歌となっており、そうした抑揚を存分に堪能するためにも本作はIMAXで観るべき作品だろう。ぜひ最後まで聴いたうえで、「オーバーロード」初の新作劇場版を反芻してほしい。
文/はるのおと