アニメーター・坂本勝のトランスフォーマー愛が爆発!コラボポスターに込めた想いと、雨宮哲監督へとつながる“人生の分岐点”
「『コグ』で変形能力を手に入れて新しい力に目覚めるシーンは特に興奮しました」
そんな想いを込めてイラストを描いた坂本。制作のためにいち早く観た『トランスフォーマー/ONE』はかなりお気に入りの1本になったと熱弁するが、実は観る前の段階では、作品の仕上がりに若干の不安もあったそうだ。
「舞台が地球ではなくサイバトロン星と事前情報で見て、『(人間のキャラクターがいなくて)共感できるのかな?』と思っていたところもありました。さらに僕自身は、司令官としてのオプティマスプライムが大好きだというのもあって、オライオンパックスと呼ばれている若々しい時代は、ちょっと頼りないなと感じたりもしていたんです。ただ、オプティマスとメガトロンが一緒にいて、コンビを組んで戦うという予告を観て、そこからすごく興味を惹かれました。過去のメガトロンを見ることができるということと、仲が良かった彼らがどのように一緒に戦って、関係が変わっていくのかが気になりました。実際に本編でも、2人の変化がおもしろいポイントでしたし、大好きな1本になりました」。
本作は、「トランスフォーマー」の時系列的に最初のエピソードであるため、シリーズの知識がない人たちでも迷わずに観ることができる作品になっている。その一方で、作品世界を知っていれば知っているほど、「こんな要素を出してきたのか!」と感心するようなポイントが多数存在している。「トランスフォーマー」ファンの坂本ももちろん、そうしたディープな要素にも大きく反応している。
「トランスフォーマーたちの原点には、プライマスという根源的な存在がいて、13人のプライムがいるということはこれまでのシリーズで断片的に描かれていたので、『トランスフォーマー』の創世記みたいな説明が入るところから始めるのには驚きました。ストーリー全体の展開のさせ方がすごく上手くて、どこも飽きさせない感じもすばらしかったです。オライオンパックスたちが下層の作業ロボットとして採掘作業をしていて、物語は彼らがどんな状況に置かれているのかという世界観を示しつつオライオンパックスの人物像がしっかり描かれていて、そこからレースで振り回されるD-16とのバディ感にワクワクして、地下に地上に場面が変わっていってと展開の一つ一つが予想がつかない感じで進んでいく。さらに変形に必要な『コグ』が出てきて、変形能力を手に入れて新しい力に目覚めるシーンは特に興奮しました。
トランスフォーマー初期の話には欠かせないクインテッサ星人の存在が語られたり、マトリクスはどこにあるのかと、細かいネタが盛り沢山と言えるほど散りばめられていて、それを105分のなかにキッチリと入れ込む形で作られているのがよかったです。のちにメガトロンの仲間になるスタースクリームたちが、オプティマスの仲間になるところもグッときましたね。その後を知っていると、彼らはオートボットとディセプティコンに別れて戦う関係になるわけですが、そんな彼らが敵対する前に手を組んで、一つのことを為そうとするところは本当に熱かったです」。
「作り手視点で言うと、想像してない展開を見せてほしい」
胸躍る展開、マニアも唸るようなネタの数々。予想を超えた展開を見せてくれた『トランスフォーマー/ONE』は、ファンでなくても続編を期待せずにはいられない要素もあふれている。そこで坂本に、「トランスフォーマー」ファンだからこそ観たい、本作の“妄想続編”を教えてもらった。
「今回はオプティマスとメガトロンの関係を中心にしていたので、世界観を構成する重要な要素としてクインテッサ星人は登場していましたが、まだ決着はついていないので、ここは続編で観たいですね。それから、センチネルプライムの側近として、蜘蛛型の女性キャラであるエアラクニッドが登場していたんですが、そうなるとインセクトロンという昆虫型の第3勢力も多分存在しているんだろうなとか。合体戦士のスペリオンやデバスターの変形合体、そして、いままで実写映画では匂わせで終わってしまってたユニクロンを出してほしいし、冒頭で高位存在として登場したプライマスも描かれていたので、ユニクロンとプライマスの戦いは是非観たい…という感じですね!妄想はこんな感じですが、作り手視点で言うとこれら超えた想像してない展開を見せてほしいです(笑)」。