キムタクとの共演など日本にも縁あり…甘いマスクで一世を風靡するもハリウッドから姿を消していたジョシュ・ハートネットの風変わりなキャリア

コラム

キムタクとの共演など日本にも縁あり…甘いマスクで一世を風靡するもハリウッドから姿を消していたジョシュ・ハートネットの風変わりなキャリア

ハリウッドにカムバック!最新作ではサイコな殺人鬼に…

近年はガイ・リッチー作品の常連に(『オペレーション・フォーチュン』)
近年はガイ・リッチー作品の常連に(『オペレーション・フォーチュン』)[c] Lionsgate/ Courtesy Everett Collection

2010年代はハリウッドから離れ、小規模な作品への出演が続いたが、2020年代になるとメジャー作品へカムバック。現金輸送車襲撃事件を描くガイ・リッチー監督の『キャッシュトラック』(21)ではジェイソン・ステイサム演じる主人公になにかと突っかかる警備会社の同僚を演じ脇役ながら輝きを放つと、同じくリッチー監督のスパイアクション『オペレーション・フォーチュン』(23)では情けない映画スター役をコミカルに演じ、復活を印象づけた。

また『オッペンハイマー』(23)では、オッペンハイマー(キリアン・マーフィー)のバークレー校での同僚である実験物理学者アーネスト・ローレンス役で出演。かつてオファーを断り後悔したというノーラン監督作品への出演がついに実現することになった。

歌姫のコンサートを舞台にしたM.ナイト・シャマラン監督のサスペンス(『トラップ』)
歌姫のコンサートを舞台にしたM.ナイト・シャマラン監督のサスペンス(『トラップ』)[c]2024 WARNER BROS. ENT. ALL RIGHTS RESERVED

近年は脇役が多かったハートネットにとって久々のメジャー作品での主演となったのが、家族思いの父親が世間を騒がすサイコな切り裂き魔だった――という設定が興味をそそるM.ナイト・シャマラン監督最新作『トラップ』だ。

娘を溺愛する優しい顔を持つ父を演じている(『トラップ』)
娘を溺愛する優しい顔を持つ父を演じている(『トラップ』)[c]2024 WARNER BROS. ENT. ALL RIGHTS RESERVED

愛する娘ライリー(アリエル・ドノヒュー)のために、彼女が夢中の世界的歌姫レディ・レイヴン(サレカ・シャマラン)が出演するアリーナライブのプラチナチケットを手に入れたクーパー。3万人の観客の熱狂に応えるようにライブはスタートするが、会場には異常な数の監視カメラと多数の警察官が配備され、この事態をクーパーは怪しく思う。指名手配中の切り裂き魔についてタレコミを受けた警察がこのライブに罠を仕掛けたことを、口の軽いスタッフから聞きだしたクーパー。だがそんな彼こそが、世間を騒がす残虐な殺人鬼だった…。

ロバート・ロドリゲス監督の『シン・シティ』にも出演
ロバート・ロドリゲス監督の『シン・シティ』にも出演[c] Dimension Films/courtesy Everett Collection

『シン・シティ』(05)での殺し屋役くらいで悪党を演じた経験はほとんどないハートネットにとって、挑戦となった今回のクーパーというキャラクター。

クーパーは実は連続殺人犯で…(『トラップ』)
クーパーは実は連続殺人犯で…(『トラップ』)[c]2024 WARNER BROS. ENT. ALL RIGHTS RESERVED

インタビューでも「私の仕事はクーパーの頭の中に入り込み、彼の視点からすべてを感じ取ること。たとえ彼が救いようのない人間だったとしても、彼に好意的な解釈をしないといけない。だからこういう人についての本をたくさん読んで、なぜこういう人になるのか、できるだけ理解しようとした」と語るように、しっかりとしたリサーチを経て撮影に臨んだそう。

シャマラン監督も「すべてを受け入れ、リスクを取って全力で勝負する準備ができている俳優」とハートネットを絶賛する(『トラップ』)
シャマラン監督も「すべてを受け入れ、リスクを取って全力で勝負する準備ができている俳優」とハートネットを絶賛する(『トラップ』)[c]2024 WARNER BROS. ENT. ALL RIGHTS RESERVED

娘を溺愛する優しい父の顔と影を感じさせる殺人鬼という一面、どちらに偏りすぎることなく演じることを意識したそうで、繊細なバランスでキャラクターに深みを与えている。持ち前の端正なルックスは、優しい顔と不気味な表情どちらにも説得力を与えており、まさにハマり役といったところだ。

『トラップ』は10月25日(金)より公開
『トラップ』は10月25日(金)より公開[c]2024 WARNER BROS. ENT. ALL RIGHTS RESERVED


ハリウッドの地から一度は離れながらも再び最前線に戻り、40代にしてイメージを覆すようなチャレンジングな役どころで新境地を開拓しているジョシュ・ハートネット。円熟味を増した彼が今後どのような作品に名を連ねるのか?『トラップ』での演技に注目しつつ、さらなる活躍に期待したい。

文/サンクレイオ翼

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