クリストファー・ノーランが“原爆の父”を描いた渾身の1作『オッペンハイマー』
原子爆弾の開発に成功し、「原爆の父」と呼ばれた物理学者ロバート・オッペンハイマーの知られざる人生を描いた歴史ドラマ『オッペンハイマー』(23)。『TENET テネット』(20)のクリストファー・ノーランがメガホンをとり、ノーラン作品の常連俳優であるキリアン・マーフィーがオッペンハイマー役を、「クワイエット・プレイス」シリーズのエミリー・ブラントが妻のキティ役を、ロバート・ダウニー・Jr.がアメリカ原子力委員会の委員長ルイス・ストローズを演じた。
第二次世界大戦下のアメリカ、極秘に立ち上げられたプロジェクト“マンハッタン計画”に参加したJ・ロバート・オッペンハイマーは、優秀な科学者たちを率いて世界初の原子爆弾を開発した。しかし、原爆が実戦で投下され、その惨状を聞いたオッペンハイマーは深く苦悩する。その後、冷戦や赤狩りなど、激動の時代の波に飲み込まれていく。第81回ゴールデン・グローブ賞最多5部門受賞、第96回アカデミー賞で作品賞、監督賞など最多7部門を受賞した秀作で、その内容から日本でも話題を呼んだ。
ジェイソン・モモア主演、ダイナミックな海中アクション映画『アクアマン/失われた王国』
海の生物を操る能力を持つアクアマンの活躍を描くアクション・エンタテインメント映画『アクアマン』(18)の続編『アクアマン/失われた王国』(23)。前作から主演のジェイソン・モモア、ジェームズ・ワン監督が続投した。また、前作でアクアマンの弟オームを演じたパトリック・ウィルソン、アクアマンの母アトランナ役のニコール・キッドマン、ブラックマンタ役のヤーヤ・アブドゥル=マティーン2世らも集結した。
はるか昔、南極の氷河の奥深くに”失われた王国”が、世界を滅亡させる力を秘めた古代兵器ブラック・トライデントとともに封印された。ある時、その封印が解かれ、邪悪な力が解き放たれる。かつてない脅威から海と地上の世界を守るため、海の生物を操る海底アトランティスの王にして、ユーモアあふれるお調子者のアクアマンが、5億の海の仲間と共に立ち上がる。前作よりもパワーアップしたすさまじい海中バトルにも大興奮。
ティモシー・シャラメ主演の人気ファンタジー『ウォンカとチョコレート工場のはじまり』
名作「チョコレート工場の秘密」のウィリー・ウォンカの若き日を描くファンタジー超大作『ウォンカとチョコレート工場のはじまり』(23)。「パディントン」シリーズのポール・キングが監督と脚本を、「ハリー・ポッター」シリーズのデイビッド・ヘイマンが製作を担当した。主演を『君の名前で僕を呼んで』(17)のティモシー・シャラメが務め、本作と「デューン」シリーズの両方が大ヒットを収め、一躍ハリウッドの人気スターの仲間入りを果たした。共演にヒュー・グラント、『シェイプ・オブ・ウォーター』(17)のサリー・ホーキンス、「Mr.ビーン」のローワン・アトキンソンら。
幼いころから母と夢見ていたチョコレート店出店を目指し、一流のチョコレート職人が集まるチョコレートの町へ足を踏み入れたウォンカ。彼の作りだす“魔法のチョコレート”はあっという間にみんなを虜にする。ウォンカは少女ヌードルら楽しい仲間たちと共に、彼の才能を妬む“チョコレート組合3人組”や、ウォンカのチョコを盗むウンパルンパに翻弄されながらも夢を叶えようと奮闘していく。
ディズニー100周年記念作『ウィッシュ』
「アナと雪の女王」シリーズのクリス・バックと、『ズートピア』(16)などでストーリーアーティストを担当したファウン・ヴィーラスンソーンが監督を務めた、ウォルト・ディズニー・カンパニーの創立100周年記念映画、『ウィッシュ』(23)。主人公アーシャの声を、スティーヴン・スピルバーグ監督作『ウエスト・サイド・ストーリー』(20)で第94回アカデミー賞助演女優賞を受賞したアリアナ・デボーズが演じ、日本語吹替版を生田絵梨花が担当した。
舞台はどんな願いも叶うと言われているロサス王国。魔法を操るマグニフィコ王(クリス・パイン/日本語吹替版:福山雅治)は国民から慕われているが、城で働く17歳のアーシャは、ある日、すべての“願い”が魔法を操る王に支配されているという衝撃の真実を知ってしまう。王を信じた人々の願いを救いたいと思ったアーシャが夜空の星に祈ると、空から魔法の力を持った願い星のスターが舞い降りる。アーシャは、スターや相棒である子ヤギのバレンティノと共に立ち上がり、奇跡を巻き起こしていく。
メガヒットシリーズ6作目となった『ジュラシック・ワールド/新たなる支配者』
巨匠スティーヴン・スピルバーグが生みだした大ヒットシリーズの通算6作目にして、「ジュラシック・ワールド」三部作の完結編、『ジュラシック・ワールド/新たなる支配者』(22)。『ジュラシック・ワールド』(15)のコリン・トレボロウがメガホンをとり、主人公オーウェン役のクリス・プラット、クレア役のブライス・ダラス・ハワードがそれぞれ続投したほか、ローラ・ダーン、サム・ニール、ジェフ・ゴールドブラムら「ジュラシック・パーク」シリーズの面々が再登場を果たした。
恐竜たちが世界中に解き放たれてから4年。世界そのものがジュラシック・ワールドに変貌し、あらゆる場所に棲みついた恐竜たちによって人々は混乱の渦に巻き込まれていた。オーウェンはこの状況を打破すべく、アラン・グラント博士やエリー・サトラー博士、イアン・マルコム博士たちに協力を仰ぐも、人類と恐竜の命運を懸けた新たな課題に直面する。日本語吹替版キャストは、オーウェン役に玉木宏、ヒロインのクレア役を木村佳乃が続投したほか、新キャラクター・ケイラ役(ディワンダ・ワイズ)を、伊藤沙莉が演じた。
ここまでおすすめ10本の紹介をしてきた。いずれも見応えたっぷりの良作ばかりなので、秋の夜長に楽しむのにうってつけだ。ほかにも「MEGA MOVIE WEEK」で観たい映画をチェックして、めいっぱい映画三昧の1週間を過ごしてほしい。
文/山崎伸子