32年目に突入!ファン層を拡大し続ける「忍たま乱太郎」の魅力をいまこそ再履修
圧倒的人気を誇る土井先生と、キャラクターたちが紡ぐ絆
なかでも、土井先生は様々なキャラクターと深い絆を結んでいることが、その圧倒的な人気を支えている理由となっている。共に一年は組の生徒たちを見守り、土井先生の命の恩人とも言える実技担当教師・山田伝蔵(やまだでんぞう/声:大塚明夫)との信頼関係や、その息子でもあるフリーの忍者・山田利吉(やまだりきち/声:岡野浩介)との友情、そして、きり丸との家族のような絆を通して、それぞれの視点からの「土井先生」像が描かれることにより、キャラクターが持つ多彩な魅力が浮き彫りとなるのだ。こうしたキャラクター像の描き方が実現できるのも、30年を超える長い時間をかけて魅力的な登場人物を丹念に描きだし、確かな関係性を物語の上で表現してきた「忍たま」ならでは、と言えるだろう。
そして、忘れてはならないのは、“実はすごすぎる”豪華声優陣の共演ぶりだ。乱太郎には「名探偵コナン」の江戸川コナンや『魔女の宅急便』(89)のキキで知られる高山みなみ、きり丸には「ONE PIECE」のルフィ、『天空の城ラピュタ』(86)のパズーでお馴染みの田中真弓、しんべヱには「ちびまる子ちゃん」のお母さん、「クレヨンしんちゃん」のマサオくんを演じる一龍斎貞友と、国民的キャラクターを長年にわたり演じ続けるベテランが名を連ねる。
さらに土井先生を、昨年大ヒットした『鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎』(23)の鬼太郎の父、「鬼滅の刃」の鬼舞辻無惨と幅のある演技が魅力の関俊彦、山田先生を、テレビアニメ「ブラック・ジャック」のブラック・ジャックや「ルパン三世 PART6」の次元大介と、渋く落ち着きのある声で知られる大塚明夫が演じているほか、保志総一朗、神奈延年、置鮎龍太郎、森久保祥太郎、代永翼ら、もはや“声優陣の夢の共演”といっても差し支えないほどの顔ぶれを一挙に楽しめるのも「忍たま」の強みのひとつだろう。
様々なフィールドで人気を獲得!「忍たま」の歩みを振り返る
1993年にスタートしたテレビアニメを皮切りに、1996年、2011年に公開された劇場版アニメと、2011年、2013年には加藤清史郎主演で実写映画が公開されたほか、舞台化した2.5次元ミュージカルなど、様々なフィールドで展開する「忍たま」ワールド。テレビアニメは1話10分と短く、子どもが安心して観ることができるようマイルドな描写が徹底されており、誰からも受け入れられるシンプルなデザインのキャラクターたちが明るく楽しい物語を紡いでいる。
その一方で、2.5次元ミュージカルである通称「忍ミュ」は2010年1月の初演以来、大人気シリーズへと成長。初期には、荒牧慶彦、佐藤流司、陣内将ら、現在の2.5次元ミュージカル界を牽引する人気の若手俳優陣が出演していたこともあり、大人の女性ファンから圧倒的な人気を獲得した。特に、乱太郎たちの先輩にあたる六年生の人気はアニメ版のみならずミュージカル版でも驚異的で、新旧キャストが集結した「六年生単独ライブ」も開催されているほどだ。
大人世代にこそグッとくる。劇場版ならではの見どころ
そんな国民的アニメシリーズの最新映画が『劇場版 忍たま乱太郎 ドクタケ忍者隊最強の軍師』だ。映画化にあたり復刻した同名小説を原作に、シリーズ屈指の人気キャラである土井先生を中心とした、いつもと違う「忍たま」が描かれる。
土井先生をライバル視し、ことあるごとに勝負を挑んでくるタソガレドキ忍軍の忍者、諸泉尊奈門との決闘のあと、土井先生は消息を絶ってしまう。忍術学園の教師や上級生の捜索が始まるなか、きり丸は偶然、土井先生が置かれた状況を知ることに。そんな折、土井先生捜索中の六年生の前に、土井先生に瓜二つのドクタケ忍者隊軍師、天鬼が現れる。
誰もが楽しめるファミリー向けタイトルとして愛されてきた「忍たま」だが、本作では、いつもの優しくて穏やかな土井先生とは別人のような天鬼が、太刀を手に六年生に襲いかかるといった、シリアスなシーンも盛り込まれている。また、土井先生ときり丸の関係にもフォーカスを当て、彼らの絆をドラマチックに描きだしていく。
なかでも、土井先生が姿を消したことを知るきり丸の姿や、きり丸のために、土井先生救出に向け一年は組が団結する場面に、映画館で号泣するファンが続出するはず。また、土井先生と並ぶ人気キャラクターであるフリーの忍者・山田利吉はもちろん、凸凹な面がありながらも連携して土井先生捜索に奮闘する六年生といった、学年・学園を超えたキャラクター達が出演するなど、ファンにはたまらないストーリー展開が待ち受けている。
さらに、人気アイドルグループ「なにわ男子」が、時代を超えて愛される名曲「勇気100%」を担当するだけでなく、新曲「ありがとう心から」を主題歌として提供。また、声優としても本編に参加するといった劇場版ならではのコラボレーションも実現。原作者・尼子騒兵衛考案による完全オリジナルキャラクターで忍術学園の卒業生である桜木清右衛門(さくらぎせいえもん)を大西流星、若王寺勘兵衛(なこうじかんべえ)を藤原丈一郎がそれぞれ演じる。
そんな「忍たま」の13年ぶりとなる待望の劇場版アニメ『劇場版 忍たま乱太郎 ドクタケ忍者隊最強の軍師』が、いよいよ12月20日より公開!作品に出逢った時から推し続けているファンはもちろん、成長するに従って卒業した大人たちをも巻き込んだブームの到来が予想される「忍たま乱太郎」シリーズ。30年以上も愛され続ける「忍たま」の魅力がたっぷりつまった劇場最新作を、ぜひスクリーンで確かめてほしい。
文/中村実香