レゴラスの弓が刺さる感覚も味わえる!?超長尺アトラクションな『ロード・オブ・ザ・リング』SEE版4DXを体験してきた
プロローグから一気に「ロード・オブ・ザ・リング」の世界へ!
プロローグではサウロンの興りと敗北、指輪の持ち主たちがたどって来た歴史が説明される。そして、人間とエルフの連合軍がサウロン陣営に立ち向かった“最後の同盟の戦い”のシーンからいきなり圧倒されてしまった。エルフの兵隊が弓矢を放つ度に首のあたりにヒュッ、ヒュッと風が吹き付けられ、両陣営の剣や槍が互いを打ち合えばその斬撃がシートの振動という形で再現されていく。そこにサウロンが現れ、手にしたメイスで次々と人間とエルフを薙ぎ払うのに合わせて、ドーン、ドーンと衝撃が体に伝わって来るので、その力の強大さを実際に体感しているような迫力があった。
その後も、指輪を奪われたサウロンが爆散して消滅するシーン、指輪を手にした人間の王子イシルドゥアがあやめ野でオークに襲撃され命を落とすシーンなどが続き、4DXとの相乗効果で臨場感がより増した「LOTR」の世界に瞬く間に入り込んでいくことができた。
中つ国の一部になったような没入感
第1部は観客を「LOTR」の世界へ引き込む導入的作品でもあり、そういう意味でも劇中には村や町、城塞都市、廃墟に雪山、大河などが次々と登場し、中つ国の壮大さ、紡がれてきたであろう歴史の深さを感じ取ることができる。今回の4DXを体験しながらまず実感したのは、こうした中つ国の世界の一部になれたような没入感だった。
争いとは無縁な田園風景が広がるホビット庄に、エルフたちが住む裂け谷やロスローリエンの美しさ。ドワーフが築いた地下宮殿カザド=ドゥム、大河アンドゥインを挟んでそびえ立つアルゴナスの巨大な石像からは、かつて存在した文明の栄枯盛衰が示唆され、モルドールにて再建されているサウロンの居城、バラド=ドゥーアには支配欲と禍々しさが渦巻いている。
ジャクソン監督の故郷ニュージーランドで撮影された自然豊かな風景、セットやミニチュア、3DCGを駆使して造られた建造物をじっくり端から端まで追ってみたり、ゆっくりカメラを引きながら遠景でも見せてくれたり。その動きに合わせてシートも上下左右に動くので、まるで観客自身がドローンカメラになっていままさに撮影をしているような感覚にさせられる。例えば、サウロン陣営に寝返った白の魔法使い、サルマン(クリストファー・リー)が放った黒い鳥クレバインの群れが旅の仲間の動向を偵察し、アイゼンガルドに舞い戻って来る一連のシーンでも、オークと人間を掛け合わせたウルク=ハイやその武具を製造する地下工場に実際にもぐり込んだような臨場感があったので、縦横無尽に動くシートの機能がうまく作用していたように感じられた。
数々のアクションシーンがより迫力あるものとしてバージョンアップ!
バラエティに富んだアクションシーンも「LOTR」の魅力の一つ。アモンスールの見張り台におけるアラゴルンと“指輪の幽鬼”ナズグルの戦い、モリアの坑道でのオークの群れ&トロルとの激闘、アモン・ヘンでのウルク=ハイの一団との対峙といった戦闘シーン、瀕死状態のフロドを馬に乗せて逃げるエルロンドの娘アルウェン(リヴ・タイラー)を追って来たナズグルが激流に押し流されるシーンなどが、バックシートからのアタック、水しぶきなど様々なギミックを合わせてより迫力ある場面に昇華されている。弓の名手であるレゴラスが矢を連射するアクションに対し、その一本一本が敵に刺さる感覚が風や振動で丁寧に再現されていることからも強いこだわりが感じられた。
特に印象的だったのが、アイゼンガルドのオルサンクの塔内で繰り広げられたガンダルフとサルマンのバトルで、互いの魔法で相手を吹き飛ばす度にその衝撃に呼応してシートが振動。ガンダルフを追い詰めたサルマンが、彼を宙に浮かせて塔の屋上に幽閉する場面では、ぐるぐる回転するガンダルフと共にシートも動くので、シリアスなシーンながらアトラクション的な楽しさも感じることができた。
ガンダルフつながりでは、モリアの坑道の終盤、カザド=ドゥムの橋における古代の悪鬼バルログとの対決シーンも壮絶。全身に炎を纏った圧倒的威圧感を目の前に一歩も引くことなく、「この先は通さん!」と橋の中央に立ちはだかるガンダルフ。その気迫も真に迫ってくるようで、この戦いの先に訪れる悲劇も含めて、シリーズ屈指の名シーンに磨きがかかっていた。
指輪とサウロンによる重圧がより強烈に…
あえて動きのないシーンにも注目したい。それはホビット庄を出たばかりのフロドたちが、ナズグルの存在に気付いて木の根の窪みに隠れるシーン。ナズグルが乗る馬の足音に合わせて振動はするものの、全体的にギミックは静かになってしまうので、息をひそめるフロドたちの緊張感が手に取るように伝わってきた。
登場人物の心情とのリンクという点では、特に指輪の持ち主であるフロドの苦悩、葛藤が強く表現されていたと思う。指輪をはめることで周囲から姿を見えなくすることができるのだが、持ち主はすべてが歪んだ影の世界へと入り込みサウロンともつながってしまう。その際の全身にかかる重圧が後ろに倒れて振動するシート、瞼の無い火で縁取られたサウロンの巨大な目から放たれる業火も首筋にかかる熱風で再現されており、フロドがどれだけの重荷を背負っているかが改めて認識させられる。
トロルの唾にウルク=ハイの血しぶき、モリアの異臭までもが再現!?
ここでこんなギミックが!と思わず笑ってしまいそうな演出もあったので紹介しておきたい。フロドの前の指輪の持ち主で彼の養父にあたるビルボ・バギンズ(イアン・ホルム)を訪ねて袋小路屋敷にやって来たガンダルフ。ホビットサイズのこの家は彼にとっては少々窮屈で、ビルボに呼ばれて振り向いた瞬間に天井の梁に頭をぶつけるシーンでも、しっかりとバックシートから小突かれた。
モリアでの戦闘ではフロドの目の前に現れたトロルが吠えるシーンがあったが、ここではスクリーンいっぱいに降りかかるトロルの唾を水しぶきとして再現。アモン=ヘンでウルク=ハイの隊長ラーツの頸をアラゴルンが刎ねた際にも、飛び散る血に合わせてやはり水しぶきが顔にかかってきた。
このほか、様々な香りがしてくるというギミックもあり、モリアでドワーフたちの死体が散乱しているのを発見したシーンでは、不快というわけではないのだが、何とも言えない臭いが鼻をついてきた。美しい森林に隠されたロスローリエンではどこかかぐわしい香りが、裂け谷でアラゴルンとアルウェンが互いの想いを確かめ合うシーンではなんだか甘い香りが漂っていた。また、劇場にはスモークを放つ装置も備わっており、カラズラスの雪山で一行が雪崩に巻き込まれた場面ではモクモクと白い煙がかすかにスクリーンを覆うという演出も。
11/22(金)~11/28(木):
『ロード・オブ・ザ・リング』スペシャル・エクステンデッド・エディション
上映時間:3時間28分(208分)
11/29(金)~12/5(木):
『ロード・オブ・ザ・リング/二つの塔』スペシャル・エクステンデッド・エディション
上映時間:3時間44分(224分)
12/6(金)~12/12(木):
『ロード・オブ・ザ・リング/王の帰還』スペシャル・エクステンデッド・エディション
上映時間:4時間13分(253分)
※上映フォーマットは4DX2D字幕版となります。
※途中休憩はございません。
※劇場情報は公式HPよりご確認ください。