シリーズ累計発行部数1000万部を突破しテレビアニメ化もされた清水茜の同名コミックを、「翔んで埼玉」シリーズなどで知られる武内英樹監督のもと、永野芽郁と佐藤健のダブル主演で実写映画化した『はたらく細胞』(公開中)。人間の体の中にいる“細胞”を擬人化するユニークな設定で話題を集める本作には、数多くの個性的な“細胞キャラクター”が登場。そのなかでもひときわ異彩を放つのが、山本耕史演じるキラーT細胞だ。
キラーT細胞とは、細菌やウイルス感染細胞などの異物を見つけて破壊する、強力な殺傷能力を持つ免疫細胞の主力部隊。“KILL”と書かれた帽子をトレードマークに、金髪で筋肉ムキムキという体育会系の超武闘派。山本自身が「キラーT細胞を演じているというよりも、一人の戦士を演じているつもりだった」と語っているように、激しいアクションシーンが見せ場となっている。
山本といえば、わずか0歳で芸能界入りを果たし子役として初舞台を踏んでから、映画やテレビドラマ、舞台など数多くの作品に携わってきた生粋の俳優。NHKの大河ドラマ「新選組!」をはじめ、これまで何度も土方歳三役を演じてきたように、甘いマスクのイケメン俳優の一人として脚光を浴びてきた彼だが、なぜかここ数年は強烈な個性のキャラクターを演じることが相次いでいる。そこで本稿では、近年山本が演じてきた“クセ強”な役柄の数々を振り返っていこう。
勝利を噛み締め一瞬で転落…気の毒すぎるデベロッパーを熱演
まずは今年話題沸騰だったNetflixシリーズ「地面師たち」。ここで山本が演じてたのは地面師たちのターゲットとなる大手不動産会社「石洋ハウス」のデベロッパーの青柳という役柄。どんな手を使っても土地を奪い取ることをモットーにした旧体質の持ち主で、当初進めていた大規模な再開発プロジェクトが頓挫してしまったことで焦りを感じ、地面師たちが仕掛けた罠にまんまとハマってしまうことになる。
常に眉間にシワを寄せて「戦争にコンプライアンスもクソもねえ」と部下を怒鳴りつけ、出世競争を制するために社長にすり寄って根回しをし、土地を購入する決裁を獲得。そして勝利を噛み締めるように、手に入れた土地を見下ろす高級ホテルで愛人である社長秘書との情事にいそしむ…。その向上心の高さと自己顕示欲の強さが仇となって不幸のどん底へと突き落とされていく姿は、SNS上でも語りぐさになるほど。このドラマシリーズ屈指のインパクトを放った役柄といえよう。